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ドクターが挑発するように言う。
Aはというと、その間ずっと、泥ワープの臭さに辟易していた。
空気中の物質に干渉する"個性"上、人並み以上に嗅覚が鋭くなっているせいだった。
「俺は、先生とあんたに会う以前のことを、よく覚えていない」
何かを思い出そうと努めるかのように顔を上げながら、死柄木が話を始める。
「なのにだ。みんなを身につけると、怒りが沸々湧いてくる。
考えてたんだ、あの日からずっとさ。
ちゃんと覚えてんのは、先生に抱えられてから。それまで俺はカラッポだった」
剥製を手に取って、一つずつ記憶を醒まそうとするような死柄木に、Aはどうにも懐かしい気持ちになった。
不思議と、AFOに裏切られた気にはならなかった。
死柄木と自分では勿論境遇が違うし、AFOが求めていたものもそれぞれ違ったらしいことに確信を得た。
「皆を身につけると、胸がムカムカして吐きそうなのに、心がどこか落ち着くんだ。不思議だよな！
俺の中には断片的な映像しかないのに、なのに俺の心には鉛の塊が沈んでて、そこから怒りが無尽蔵に噴き出してくる！
全然スッキリしないんだ。
ヒーロー社会が崩壊したとしても、裏の支配者になったとしても、この鉛が消えることはない。
俺はきっと"全部"嫌いなんだ。
息づく全てが俺を苛つかせるんだ。
じゃあもう壊そう。
一旦"全部"。
あんたは世にも美しい地平線を見られるよ。
だからドクター、手を貸せ。
地獄から天国まで見せてやる」
ボロアパートでの続きは、これだったらしい。
「まるで子供の絵空事！真顔で何を言うかと思ったら!!」
ドクターがボサボサの真っ白なヒゲの下で大声を上げて笑う。至極楽しそうだ。
「良いじゃろう、力を貸そう死柄木弔!!やってみろ!!
「弔くん物騒なこと考えてたのですねえ…ねェ、私の好きなものまで消しちゃうの？」
チョロ、と軽口を叩くコンプレスの横で不満げにトガが問う。
「仲間の望みは別腹さ。好きに生きてろ」
「やった！」
トガは可愛らしく飛び跳ねて喜んだ。
「ハッハッハッ
思っていたよりトんだのう死柄木よ!!」
笑いを堪えながらのドクターが、乗り出していた身を椅子に戻す。その台詞に、死柄木は察した。
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです！！ (4月1日 8時) (
レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます！とっても励みになります！！もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります！！ (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい！ (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：篠瀬 | 作成日時：2024年3月11日 11時
