・ ページ47
ドクターの声が一旦途切れ、何でしょ、とトガか言う横で荼毘はAを離さぬようにと彼と自分の指と指とを絡める。
その上で怪我は、と聞こうとしたのだが、その前にAがなぜだか咳き込んだ。
「おい、A?
…!」
数拍遅れて、他のメンバーの口からも泥のような液体が溢れた。
神野でAFOが使った"個性"だ。
それはあっという間にそれぞれの体を飲み込み、バシャ、という音と共に彼らを転送した。
・
敵連合が転送されたそこでは、何本ものチューブや管が張り巡らされていて、何体もの脳無が作られていた。
そして、その先では、縁が歯車のようになった丸メガネをかけた老人が座っている。
彼が「ドクター」らしい。
「脳無…?これまでのと少し違う…」
Aには全く分からないことを呟いた荼毘に、ドクターが反応する。
「ほほう分かるのか差異が‼
ほほうほほうやはり良い目を持っとるよ!
そうじゃ違うんじゃ、この子らは中位下位とは違うんじゃよ〜〜!!
より『マスターピース』に近づいたスーパー脳無じゃ!
凄いじゃろうこれまでとは違うんじゃよ!!」
予想外の興奮ぶりだった。
唾を飛ばして捲し立てる彼に、死柄木は本題に入ろうと試みる。
「俺も頼みがあって探してた。ある"弾"を複製してほしい」
「髪が伸びたな死柄木よ!お父さんたちは元気かね?」
「ああ」
死柄木が体中の手を見下ろしながら答える。その後ろで、コンプレスが
「あれがドクター?逆光で見えねえ」
と若干体を奥へ寄せた瞬間、
「来るな!!」
ドクターがそう叫んで、御老体とは思えない素早さで即座に連合から距離を取った。
「すまんな。不用意に近づくな。いいな?
近寄る時はいつ何時もワシからじゃ。
破ればすぐに元いた場所へ帰し、アイツにミンチにしてもらう」
「死柄木以外ははじめましてかな?AFO側近、氏子達磨じゃ。今適当に付けた名じゃ。
さてと死柄木、招いてやったのはAFOに免じての譲歩故じゃ。
ワシの全てはAFOに捧げた。お前は今までそのおこぼれに縋っていたにすぎない。
嫌っとるワケじゃない。ワシの為じゃよ。
全てを捧げるに値するかどうか見極めたいのじゃ。
何も為していない、二十歳そこらの社会の塵が、ワシに何を見せてくれるんじゃ?死柄木弔」
32人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時