Ep.17_お出かけ ページ43
その日の午後である。
「…出かけるの?」
そう尋ねたAへ、少し申し訳無さそうに頷いた黒霧に、死柄木を除く面々はなぜ?と首を傾げる。
「AFOから託されたことがありまして。まだ口外はできないのですが」
そう、と興味なさげにAは顎を引く。
それでも、黒霧が自身の"個性"で出現させたゲートをくぐる直前に、彼が「気をつけてね」と小さな声で言ったのが聞こえ、人知れず嬉しく、微笑ましく思った。
しかし彼は、その日の内に帰ってはこなかった。
どころか、彼らが再会するのは随分先の未来での出来事となった。
・
「帰ってこないね、黒霧」
今にも深夜を回りそうな時計を上目で見ながら、Aが呟く。
別にわざわざ起きて待っている必要はないのだが、なんとなく心配だったので映画を見て待機中の連合メンバーだった。
大型テレビで上映中のスパイ映画では、イカツイ男共が街中でカーチェイスを繰り広げている。
めっちゃ目立ってるけどいいのかスパイ。
隠密行動はどうしたスパイ。
ところで門限はどうした黒霧。
睡眠欲には銃撃戦の轟音も敗北するらしく、リビングの皆も既にうつらうつらしている。
よし、今日はリビングで雑魚寝の日だ。
家主の決定に、寝床二階組を筆頭に全員が賛成した。
たまにはこういうのも悪くないだろう。
お泊り会みたいだね。
・
次の日、最後に起床したのは死柄木だった。
もうちょっとで、トガと彼女の提案に乗っかったトゥワイスによってツインテールにヘアアレンジされるところだった。
双方にとって間一髪、それは危ないところで免れた。
もし実現されていたら、死柄木を除いたメンバーの好奇心と悪戯心は満たされただろうが明らかに寿命は減ることが予想されるし、死柄木は死柄木で何かを失うと思うので結果オーライだ。
ともかく、一番の遅起きだったボスは、昼時にメンバーにあるメモ用紙を見せた。
「黒霧が残してった。もしものことがあればここへ行けって」
ということで始まりました、敵連合放浪旅。
メモに記されていた住所は明らかに人里離れた山岳地を示していたのだが、そこに人工衛星で発見されないよう細工された隠れ家的なアジト的なものがあって、助っ人的な人物が待っているのかもしれないという一縷の望みは決して捨てずに。
か細い希望をしかと胸に抱いて、さあ出発だ。
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時