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「僕は友達いないからさ」
言葉自体は自虐的なくせに、何が面白いのかソイツはニッと顔に笑みを湛えた。
燈矢が今まで見てきたことの無い種類の笑顔だった。
浅い付き合いながら変な奴だと思ったのだが、その日を境に、Aはよく荼毘に話しかけてくるようになった。
それだけじゃなく、自意識過剰とはとても思えないほど、Aは荼毘と話している時楽しそうだった。
分かりづらくとも、声音や表情の抑揚が荼毘にだけは伝わる程度に変化するようになっていた。
まあAが話す相手が荼毘以外いないので、比較対象はなかったのだが。
とにかく不思議に思っているのは、友達いないから、と言っていたAは、俺のことも友達だとは思っていなかったのだろうか。
轟家にいた時も友人という友人がいなかったために、人とと距離感がよくわからなかったが、Aと自分は確かに赤の他人ではなかったはずだ。
未だに疑問だが、中々訊けない。
わざわざ改めて訊くことでもないと突っぱねられそうだからだ。
アイツは何を考えているのかいつも分からない。
だが一つだけ思ったことがあるのは、もしかしたらあの言葉は、軽い自虐ではなくて、周囲への皮肉だったのかもしれない。
荼毘の足の間が定位置だと思っているのか、当然のようにそこに座り込んでいるAの頭に顎を置いた。
Aが猫背なことや、身長差もあるためにさほど負担なく乗っけられた。
体格差があるために、抱きしめれば簡単に動きを封じられる。
せっせと働いているスピナー達をよそに、Aを愛でる荼毘。
「重い」
口ではそう言いつつも、別に抵抗するわけでもなくAは受け入れる。
まるで成長しきっていないような、小さな同居人は今日も可愛かった。
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時