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そう言って呆れたように肩をすくめたコンプレスは、流れる様な動作でAの肩に手を回してなあ?と共感を求めた。
そしてさり気なく襟元に指先を侵入させる。
彼の意図が分らず、Aがミスター?と首を傾げた途端に、鋭い痛みが走った。
「ぃ"っ……!」
端正な顔を歪めて声を漏らしたAに、
「ビンゴ」
いたずらが成功した子どものように笑うエンターテイナー。
仮面を外した目出し帽の下で口角を上げた。
コイツ、Aの鎖骨に荼毘が残した噛み跡を爪でなぞりやがったのだ。
それも今日の内に付けられたヤツを。
そりゃ痛いわ。
「荼毘もさァ、痛そうなことしてやんなよ?逃げられるぜ」
「それ以前にだ、さっさと手離せ。それか死ね」
「おじさんをビビらせないでちょうだいよ」
物騒なワードが(一方的に)飛び交う殺伐ゾーン。
そこから逃げ出してきたAが向かった先はもちろん、スピナーと黒霧の元。
死柄木もいたけど、満たされた腹は副交感神経を優位にするらしく上機嫌そうだった。
「…黒霧ってさ」
手にしたピザのチーズを伸ばしながらAが素朴な疑問を吐露する。
「はい、なんでしょう?」
と黒霧はいつものように丁寧に応答した。
「…口どこ?」
本当に素朴な、子どものような質問だった。
それに死柄木やスピナーも乗っかってはてなを浮かべてしまっては、もうダメだった。純粋トリオだ。
「ああ、分かりにくいですよね…多分ここらへん…」
靄が象る顔の下半分辺りを指差す黒霧。
「ふーん」と死柄木。
「ほおー」とスピナー。
「…ピザ美味しい?」と、これはAだ。
「はい、ありがとうございますA」
「良かったね」
「はい」
なんだか和んでしまった敵連合だった。
気分が荒んだらこの光景を思い出せばいいんだろうな、とコンプレスは思った。
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時