Ep.16_ピザパーティー ページ37
箇所に痛みと疲労の残る自分の体を、抱きしめるようにして腕を回し体育座りしているA。
先程荼毘に襲われ、体力を消耗したせいでぼーっとしている彼は、リビングのソファに背をもたれて荼毘に髪を乾かしてもらっていた。
別に頼んだわけじゃない。
A自身は微塵も気にしていないのに、荼毘が勝手にお手入れしてくれるのだ。
毎朝寝癖を直しもせず一日を過ごすAの髪を梳かし、洗い乾かし、血色の悪い肌には日焼け止めや保湿を施し、そして愛でる。
ドライヤー中の今でさえ、時折髪を一束掬って愛おしそうに口づけていた。
風呂場で自分の気が済むまでAを付き合わせたくせに面の皮が厚い奴である。
「きも」
大型のテレビでスピナーとゲームをしながら死柄木が呟く。
さっきからドライヤーの音でゲーム音が掻き消され少々不機嫌気味なリーダーだった。
スピナーは純粋なので、ひたすら顔を輝かせて画面に没頭している。
Aにとって、黒霧と並んで荼毘の次に一緒にいて落ち着く人物である。
「荼毘くんはAくんが大好きで仕方ないのです」
「分かるぜ!俺もトガちゃん大好きだからな!見てくれよ、離婚届だ!」
離婚届をどこから持ってきたのかは謎だが、二人の恋する乙女は相変わらずだ。
荼毘がトガに当たりが強いのも、Aとお似合い発言をするとそれが柔らかくなるのも相変わらずだ。
警察車両を襲い、嫌いな奴の両腕を物理的に奪い、ヒーローを殺してきた日の午後とは思えないわちゃわちゃした様子のリビングに、Aはふとスマホを取った。
「……夜、ピザにでもしよっか」
料理をめんどくさがった家主のその一声に、入浴中のコンプレスを除いた敵連合全員が歓声を上げた。
死柄木ですらAのスマホを我先にと覗き込んだ。
「魚入ってねェヤツな」
「私これがいいです」
「死柄木弔、野菜も食べないと…」
「今日くらい別にいいじゃねえか黒霧!栄養って大事だもんな!」
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時