Ep.15_一件落着 ページ36
「あ!おかえりなさいAくん!」
「近づくなっつってんだろイカレ野郎」
せっかく出迎えてくれたトガを無碍にあしらう荼毘。
だがトガもトガで慣れているので、というよりは気にしないのがデフォルトなのでAに駆け寄っていく。
雄英生の緑谷という少年が好きなのではなかったのか。
かわいいものには目がないのか、流石にJKである(?)。
「おいA、さっさと風呂入って寝よーぜ」
「まだ外明るいけど?」
荼毘にそんなロジックが通用するはずがなかった。
・
泡風呂たのしい。
窓の外も後ろでくつろいでる人も気にせず、荼毘の足の間に座り込んだAはシャボン玉を慎重に成長させていく。
あれ、韻踏んでる?
「……ぁ」
Aの背や肩、首元に顔を埋めていた荼毘がいつの間にか腕を伸ばし、指でつついて割ってしまったそれ。
Aは彼を振り返ってジトーッと睨みつけた。
どうしよう、それすらかわいいと思ってしまう荼毘だった。
「あ"あーー……」
とぐりぐりとAの小さな背に頭を押し付ける彼は末期である。
Aからすれば、癖のある荼毘の髪の毛が当たってくすぐったい他ないのだが。
かと思えば、Aの白い肌にキスを落として赤く色づけたり、歯を立てて噛み跡を残したりと好き勝手するのだからたまったものじゃない。
「……いたい」
「ごめんって。でも消えかけてたからさ」
「意味が分からん。暑いし上がる」
そう言って荼毘の腕の中から脱出しようとするも、案の定がっちりホールドされてしまった。
どころか、今日はそういう気分らしく、Aが腰を上げたのを利用して正面向きに座らされる。
「まあ待てよ」
まずい。
Aは荼毘のねだるような表情には弱いのだ。
いつもなんだかんだ守られている分、こういう時に年上の矜持が疼いて甘やかしたくなってしまう。
「…………なに」
相手にしてしまった時点で、荼毘の術中にハマったも同然だった。
「分かってんだろ、どーせ」
逸らそうとした目線を捕らえた獣のような瞳と、妖艶な手つきで腰に回った腕がAに逃げることを許さない。
浴槽が広くて良かった。
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時