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Ep.4_里帰り ページ4

燈矢がAに拾われた翌日、燈矢はいつか返すと約束して金を借り、すぐ返すと約束してスマホを借りた。

そうして自分の現在地をやっとこさ把握し、とりあえずの目的地であった実家へ顔を出そうと電車に乗った。


服は所々すすを被って汚れたり焦げたりしていたので捨てて、Aの物を着た。



自分の名を「荼毘」と人知れず改めた燈矢は、その日の内に帰ってきた。



(驚くべきことに)Aはそれまでに彼に名を尋ねていなかったので、Aは「燈矢」という名前を知らない。


しかしAはAで彼の家の事情も不鮮明に伏せたままなので、互いに得体のしれない人物同士である。


得体のしれないはずなのだか、燈矢改め荼毘にとっては、二人だけの家はなんとなく居心地が良かった。





ただ一つ、守れと言われた約束。


「屋根裏部屋にはいかないこと」




それだけが、荼毘のどこかに怪訝な色を残した。


















Aの気まぐれで家事とどちらがベッドを使うかをローテーションし、今更学校に行ける訳もないのでダラダラして過ごす。


Aはどうやら絵を描くのが趣味なようで、時々自転車に乗って出かけるが。



ある時Aの伯父が訪ねてきたこともあった。



なぜか家にいる甥っ子を目にし、ひどく狼狽していた伯父を微塵も気にせず、Aはあろうことか「スマホ無くしたからもう一個買って」と顔色一つ変えずに嘘をつき荼毘の分の携帯をゲットした。

末恐ろしい。





その日には、荼毘は荼毘で、彼の伯父がAと呼んだことで彼の名をやっとゲットした。



家には二人しかいないので、「ねえ」「なあ」で済んでいたのだが、互いに収穫の多い有意義な日だった。





またある時は、荼毘が急に出かけると言い出したかと思えば、数時間後に髪を黒く染めて帰ってきた。


おかえり。髪の毛黒くなったね。うん。



三言で終わる会話。


気まずくならないのがすごいと思う。





荼毘がセルフでピアスを開けていた時も、

痛そう。別に。はいガーゼ。ありがと。


荼毘がどんどん不良みたいになっていく事を憂う程できた人間は、この家にはいなかった。

Ep.5_きっかけ→←Ep.3_彼隅家



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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時

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