敵連合シェアハウス【MHA】

・ ページ29

"盾"が崩れると同時に、オーバーホールの部下らしい男どもが廃工場の壁を景気よく破壊し侵入してくる。







「穏便に済ましたかったよ、敵連合。



だがちょうど死体も互いに一つ…頭を冷やして後日話そう。腕一本はまけてくれ」








相変わらず服や腕を擦りながら、一方的に背を向けるオーバーホールに、






「てめぇ殺してやる！！」

「弔くん私刺せるよ。刺すね」





完全にその気になってしまったトゥワイスとトガ。




しかし意外にも、死柄木は止めた。





「駄目だ」





「責任取らせろ！！」


「賢明だ手だらけ男。冷静になったら、電話してくれ」








電話番号の書かれたメモのみを無造作に地に落とし、死穢八斎會はその場を去った。










・








「ミスター、動かないでよ…」





コンプレスの傷口周辺の空間、重力を"個性"を使って歪ませ、止血したA。





敵連合にやむを得ずメンバー入りしてから数週間、雄英生徒の如く"個性"伸ばしに徹した結果の利便性の向上だった。


地頭の良さありきであることは否めないが。






「血は止めたけど…多分、義爛に連絡した方がいい」


「ああ。クソ痛ェがありがたいよ、A」





いつもは荼毘用に持ち歩いている包帯を今回ばかりは特別コンプレスへ使ってあげる。


生憎、そんな上腕からは吹っ飛ばされた経験がないので軽々しく同情はできないが、痛そうに呻きながらも身体を起こし、礼を言ってくれた彼の仮面の下が、少し気になってきたAだった。









・






コンプレスはその後、すぐに駆けつけてくれた義爛に連れられ、裏の人間も診てくれる所謂「闇医者」のもとで治療を受けた。

翌日にはケロッとして帰ってきた彼に、皆内心でホッとした。

「マグネの死」という目を背けたくてもできない現実に、少しでも救いがほしかったから。

Ep.14＿オーバーホール→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す