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キャーッとマグネが黄色い声を上げ、トゥワイスは慌ててトガの目を塞いだ。
死柄木はきも、と呟いただけでさして気にした風もなく黒霧と飲み続ける。
止める者がいないのをいいことに(いたとしてもどこ吹く風だろうが)、ヒートアップしていく荼毘。
Aの口の中に残っていたアルコールすら舌で絡めながら、Aの後頭部を押さえつけていない方の手を彼の服の中へ滑らせる。
肋の浮く薄い胸板の、普段より高い体温と速い鼓動を掌に感じた時、
「やめんかい!!」
コンプレスの手刀が荼毘を襲った。
「続きはベッドへ行きやがれください」
「は?」
いいところだったのに、と不貞腐れる荼毘を無視して、皆のMr.コンプレスは睡魔に負けソファにもたれたAを横抱きにして二階の寝室へ運ぶ。
「……なんでテメェが…」
「俺も呑んだんでね」
「理由になってねェけど?」
まあまあ、といつも以上におちゃらけた様子の彼は、確かに酔っているんだろう。
そうでなければ、荼毘の目の前でAを抱き上げるなんて暴挙にはでない。
コンプレスが去り、いつかのように二人だけになった寝室で、考えなしに荼毘はベッドへダイブした。
ベッドに横になり寝息を立てているAを見つめていると、何かけしからん赤いものが彼の首元にあるのを見つけてしまった。
パーカーの襟元をはだけさせて見れば、そこにあったのは小さな歯型。
犬歯が目立つそれは、恐らくトガのものだ。
決して酒に強いわけではないくせに飲みまくるAに、なんとなくの流れで噛みついてしまうのは簡単だっただろう。
沸々と湧き上がる苛立ちと独占欲に任せ、上書きするようにAの鎖骨を噛んだ。
歯を立てれば、つぷ、と薄い皮膚が破れる。
少しだけ溢れた赤い血を舐め取った後、牽制も込めて、服の上からでも見える場所にいくつか赤い花を咲かせた荼毘だった。
寝ている間に手を出すのはルール違反だという線引は、流石に荼毘にもあった。
しかしまあよくやるものだ。
そんな長時間家を離れた訳でもないのに。
荼毘は苛立ちと呆れと後悔、その他諸々を抑え込む為に再び階下へ戻り、とりあえず酒を呷った。
もちろん、案の定Aに変身していたトガを罵倒し、その後に止めなかった他の奴らからは酒を没収した。
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時