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「小賢しい子!」とマグネ。
「刺しましょう!」とトガ。
荼毘とコンプレスはいや馬鹿だろ派。
死柄木はずっと手を見てる。
そこからまた癇癪を起こす可能性を憂慮したのか、黒霧がカウンターの奥から身を乗り出した。
「いけません死柄木弔、落ち着いて……」
だがそれは杞憂だった。
死柄木は、ただ爆豪を睨んだだけだった。
普通の子供なら泣き出す__いやただならぬ気配を感じてスンッとなるかもしれない__とにかく、爆豪へ己の負の感情を凝縮したような視線を向けただけだった。
眼力。
流石の爆豪も怯んだように見えた。
「手を出すなよ……おまえら。こいつは………大切なコマだ」
感情を抑えるように、ゆっくりとした動きで手を拾い、再びそれで顔面を覆いながら死柄木が言う。
それを見て、黒霧が少し安心したような、感心したような顔をした。
どこが顔なのか、Aにはイマイチ分からなかったが。
「できれば、もう少し耳を傾けてほしかったな…君とは、分かり合えると思ってた……」
「ねぇわ」
即答する爆豪少年。
「仕方がない。
ヒーロー達も調査を進めていると言っていた…
悠長に説得してられない。
先生」
死柄木が背後___カウンターの延長になっているテーブルにあるテレビを振り返った。
「力を貸せ」
ザザ、と荒い画面が続くも、あちら側からは見えているのか返答はすぐ返ってきた。
「……良い、判断だよ。死柄木弔」
落ち着いた口調。だが不気味さを多分に含んでいる。
テレビから突然に聞こえたその懐かしい声に、Aの脳裏である記憶が弾けた。
〈絵が、好きなのかい?素敵だね。
僕にも見せてくれないか〉
〈もう大丈夫。僕がいる〉
〈新しく入る子だ。
目が覚めたらでもいい、面倒を見てやってくれないか。大火傷を負ってしまったらしいんだ〉
_____先生。
住む場所を無くした僕を、何年も安全な"園"で住まわせてくれた人。
荼毘の世話を僕に頼んだ人。
僕の"個性"を、絵を、素敵だと言ってくれて
僕に、スケッチブックをくれた人。
七年、八年くらいかな。会ってなかったけど(それは僕らが脱走したせいだけど)、そんな所にいたんだね。
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時