Ep.8_林間合宿 ページ12
最悪のはじめましてから数週間後。
公立ならほとんどの学校が夏休みに入っているであろう時期に、再び敵連合は動いた。
それまでに何度か電話したり出かけたりしていた荼毘の様子からなんとなく察することはできたが、いきなり、しかも軽い様子で「暇なら来いよ」と言われた時はちょっと驚いた。
「僕ぜんぜん動けないけど」
「別になんもしなくていいよ」
ついてく意味あるか?
正直そう思ったAだが、まあ減るものもないし怪我して帰ってこられても…と結局ついてきた。
わあ知らない人がたくさん!
荼毘を除いたらこの前のJKしか知った顔がない。
しかも皆どこかアブなそうである。
ほら見て、横の人。謎にガスマスクつけてる。
「疼く…疼くぞ…早く行こうぜ…!」
と拳を鳴らしている彼は、全身マントに仮面で肌が見えない。
「まだ尚早。それに派手なことはしなくていいって、いってなかった?」
ガスマスクが言う。
「ああ。急にボス面始めやがってな。
今回はあくまで狼煙だ。
虚に塗れた英雄たちが地に堕ちる、その輝かしい未来の為のな」
夏の夜らしい湿った風が、新調した荼毘のコートを揺らしていた。
Aが被っていたフードも外れてしまい、髪もどいたせいで露わになった彼の顔にトガが反応する。
「荼毘くん、ねえ、彼のお名前は?」
「……あ?」
Aへ突然駆け寄ったトガに、荼毘がドスの効いた声を出す。
「カァイイねえ、カァイイねえ、目の下の黒、お揃いだねえ!」
衣装が可愛くないと文句を垂れていたトガヒミコはどこへやら。
Aの目元を撫でて楽しそうに笑う彼女に、荼毘の不機嫌ゲージが一気に高まった。
「お顔隠すのもったいないです!
それに黒も素敵だけどきっと赤のほうが似合うよ!
ねえ、チウチウしていいですか?」
「ダメに決まってンだろイカレ女。
おいA、こっち来い」
Aが素直に従うと、すぐにフードを目深に被せられ視界が遮られる。
「離れンなよ」
「…はーい」
華のJKにイカレ女呼ばわりはどうかと思ったが、人に興味を持たないのがデフォルトのAはすぐに忘れた。
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時