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「落ち着いてください、死柄木弔。
あなたが望むままを行うなら組織の拡大は必須。
奇しくも注目されている今がその拡大のチャンス。
排斥ではなく受容を、死柄木弔」
黒霧の靄が移動し、死柄木の肩周りに漂いながら保護者のように彼を諭す。
「……うるさい」
「どこ行く」
「うるさい!」
義爛にすら答えず部屋を出ていく死柄木。
「返答は後日でもよろしいでしょうか?
彼も自分がどうすべきか分かっているはずだ…だからこそ何も言わず出ていったのです。
もう二度鼻を折られた。必ず導きだすでしょう。
あなた方も自分自身も、納得するお返事を…」
黒霧が慣れた様子で取りまとめ、今日はそれでお開きになった。それなりに最悪な始めましてだった。
・
「俺下がっとけっつったよな」
「そうだっけ」
「………怪我は?」
「ない」
「……良かった」
家まで送るという義爛の申し出を蹴って、二人で帰路についたAと荼毘。
家に着いた途端、Aは脱力したようにL字型ソファに飛び込み、荼毘も上着を脱ぎ捨ててAの隣に腰を下ろした。
「…ああは言ったが、連合に入る気が無いわけじゃない。お前はどうしたい」
これで見るのが三回目くらいの映画の録画を適当に流し、意識はAの髪に触れる方に向けながら荼毘が問うた。
「別に。
荼毘がいいならついてくだけ」
Aは悩む様子を見せることなく即答した。
ありがとう、とは言わない代わりに真っ白な頬を撫でれば、無意識だろうが甘えるようにすり寄ってくるA。
いじらしい。
素直に口にできない不器用な荼毘は、なんだかんだでお父さんに似ている。
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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時