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Ep.1_おはようおねむり君 ページ1

轟燈矢が目を覚ました場所は、二人部屋だった。






幼稚園や保育園と見紛うような内装の、二人で使うには少し広い部屋。





清潔で、多分安全で、暖かい。





だが、どんなに心地良さげだろうと、自分の置かれた状況とはアンバランスすぎてどうにも不気味だった。










「隔離部屋」







突然声がした。






向かいのベッドの少年だ。

こちらには一瞥もくれないまま言った。




「………え?」


「ここ。…イカレてる僕を、隔離するための部屋」









まず、記憶の中のそれとは程遠い声が己の喉を通ったことに耳を疑った。





それから、口にも出していないのに胸中にあった疑問が解消されたことにも。



とりあえず分かったのは、ここが天国でも地獄でもないらしいってことだ。







「まだ気になる?」


「………当たり前、だろ」







燈矢がつかえながらも答えると、彼は腕に繋がっていた点滴を躊躇なく抜いて気怠そうな足取りでドアへ向かった。





扉をくぐり燈矢の視界から消える直前に僅かに顎を上げたのは、多分ついてこい、ということだろう。




燈矢も彼に倣って廊下へ出た。







「あの、俺、帰らなきゃいけないんだ。だからさ…」




さっきの部屋と大して変わらない平和ボケした壁紙が続く中、懇願するように燈矢は少年に疑問をぶつけ続ける。


少年は「多分関東」やら「先生」やら単語で答えるのみだった。




「…僕より詳しい人がいるから。ソイツに聞いて」





目的地らしいドアのノブに手を掛け、少年は言った。



その時、彼の視線がやっと上がって、顔に影を落としていた髪がどいて、気付いた。







彼の目の下を濃く縁取る隈。

病人のように青白い顔。




オーバーサイズの服のせいで分かりづらかったが、その下から覗く四肢もひどく痩けている。




彼の外見はこの施設に、自分以上に不釣り合いだった。










「君は……?」






誰、と聞こうとした。



名前を知りたかった。



なぜここにいるの?
どこか悪いの?とも。




考えてみれば、小児科病棟に見えなくもなかったから。






「…また後でね。…"おねむり君"」





聞きたかったのに、彼はすぐに踵を返してしまった。



呼び止めようと思ったけど、背後から現れたひまわりに邪魔されて、燈矢はそのまま、何が起きたかを知らされた。

Ep.2_脱走→



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篠瀬(プロフ) - 金爽さん» こちらこそ、読んでいただき、コメントもくださりありがとうございます😆そう言っていただけると本当に嬉しいです!! (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
金爽(プロフ) - あ、、さ、さいこう。ありがとう、ござい、ます。 (4月1日 0時) (レス) @page35 id: 39dbcee998 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ありがとうございます!とっても励みになります!!もっと面白い話をお届けできるよう、これからも頑張ります!! (3月27日 10時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
本好き - 面白かったです(^o^) 更新頑張って下さい! (3月27日 9時) (レス) @page25 id: 6183cd2648 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:篠瀬 | 作成日時:2024年3月11日 11時

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