Ep.102＿運命の向こう岸 ページ25
ザアアッと寄っては引いていく波。
それが、砂浜に横たわる子供たちの袖口を濡らしていた。
自由の女神像を拝めるそこでは、元食用児達が大勢倒れていた。
大半が意識を失っている中、一人の少年が起き上がった。
「ここ…人間世界？」
褐色肌に黒髪の、ぎりぎり未就学児と見える彼は、目の前の光景に円らな瞳を見開いた。
「みんな起きて！ねえ見て！」
彼の呼びかけに、次々と仲間たちは目を覚ます。
『着いた……？』
痩身に灰色の瞳の少女が、同じ黒い髪をした友人の手を借り立ち上がる。
「やった……」
段々と状況を理解していく脳。
自分たちが立っている場所がどこか、真っ先に気づいた者たちが歓喜に声を上げた。
「人間の世界だ！！」
「本当に来れた…」
「ここにはもう、鬼がいないんだ……！！」
おのおのが大事な人と喜びを噛み締め合う。
赤毛の少女は涙を流しながら家族と手を取り合い、彼女の泣き笑いに目を細めていた銀髪の少年はその輪に引き込まれた。
先程友人を起こした少年はそのまま彼女を抱きしめ、その細腕が背に回ったことに何よりも幸せを感じた。
「A！！」
『エマ、』
二人の少女はひしと抱きしめ合い、
「よおノーマン」
「やったね、レイ」
二人の少年は固く手を握りあった。
そんな彼らの様子を、微笑みながらも一線を引いた様子で見つめている女性がいた。
しかしもちろん、彼らが彼女を放っておくはずもなく。
「ママ、来てよ」
これからはもう、ただ普通に愛せることに、彼女は子どもたちの体温を感じながら涙した。
＿＿＿＿彼らには、手に入れたい未来があった。
「変えられない」運命があった。
抗って、
抗って、
掴んで、
失って、
やっと手に入れた宝物。
"運命なんてクソ食らえ"
「一緒に生きよう、これからも」
Fin.
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篠瀬(プロフ) - 弓月有無％さん» コメントありがとうございます😊たくさん書いてくださってとっても嬉しいです！番外編、楽しんでいただけたら幸いですが、全然更新できてなくて申し訳ないです…これからも頑張りますね😍 (4月11日 20時) (
レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
弓月有無％(プロフ) - 完結おめでとう御座います！！何度も読み返しており面白く、完結後もまた、読み返したいなと思います！本当に素敵な物語でかっこいいストーリだと思いました！番外編の方も楽しませて頂きます。是からも応援しております、無理せず自身のペースで頑張って下さい！！ (4月5日 11時) (レス) @page26 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - 美羽さん» めっちゃ嬉しいです！！ありがとうございます😆 (4月1日 11時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
美羽 - めっちゃ面白かったです！！ (4月1日 11時) (レス) @page26 id: f695b89957 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ひめなさん» 本当にありがとうございます！！楽しみにしてくださってる方がいると番外編も頑張れます！！ (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：篠瀬 | 作成日時：2024年1月6日 10時
