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『大丈夫、ねえ、大丈夫でしょ…？
私、もう怪我してないよ、ちゃんと走ってこれるように…』
ハウスでリリーと暮らしていたあの頃に戻ったように、取り繕いようのない子どものような台詞が口から溢れた。
「……うん。
あたしのために、来てくれたんだね。……嬉しい」
『……うん……』
「エマも、皆も…ちゃんと、無事ね…？」
『…大丈夫』
「良かった……そうじゃなきゃ、死にきれない」
そんなこと言わないでほしかった。変なところで意地悪なのも、変わってない。
「…A、聞いて」
今にも消えそうな、細々とした声。
近くにいて、且つ、聴覚の鋭いAにしか聞こえないような。
「………いつまでも一緒にいることは、ごめんなさい、できないけど………
君はいつまでも、あたしの宝物」
忘れないでね、と彼女が言ったのが、最後に聞こえた。
『……リリー…？…ねえ、待って…こっち見て、お願い』
「……リリー……リリー…！！」
もう何の返事もくれないリリーを、涙をぼろぼろ溢しながらエマが弱々しく呼ぶ。
レイが彼女の手を引くまで、Aは自分の見ている世界が夢だと信じていたい気分だった。
レイが憔悴しきった彼女を抱きしめるまで、Aは自分が生きている感覚すらしなかった。
レイもレイで必死だった。
彼女が、今度こそ自ら死んでしまいそうで、繋ぎ止めておきたくて、その小さな手を握った。
彼女の望みの如何は構わず、まだ側にいてほしくて、華奢なその体を抱きしめた。
『………全て、戻ったと思ったのに。こんなに早く、失くしてしまったみたいだ』
レイの腕の中で、自虐するように弱々しくAが呟く。
「……もう、失わないものを手に入れよう。
人間の世界で、家族みんなで帰る場所をつくろう。
そこでは、お前に悲しい思いも辛い思いも、絶対ェ俺がさせねえから」
いつか、ユウゴに言われたセリフが頭をよぎる。
真面目なのかふざけていたのかよく分からなかったが、確かに背は押してもらったかもしれない。
誰も望んでいないタイミングで、ロマンチックなおとぎ話や想像からはかけ離れた世界で、だけど。
「だから、まだ、俺と一緒に生きてほしい」
彼女が小さく首を縦に振った気配だけで、返事は十分だった。
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篠瀬(プロフ) - 弓月有無％さん» コメントありがとうございます😊たくさん書いてくださってとっても嬉しいです！番外編、楽しんでいただけたら幸いですが、全然更新できてなくて申し訳ないです…これからも頑張りますね😍 (4月11日 20時) (
レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
弓月有無％(プロフ) - 完結おめでとう御座います！！何度も読み返しており面白く、完結後もまた、読み返したいなと思います！本当に素敵な物語でかっこいいストーリだと思いました！番外編の方も楽しませて頂きます。是からも応援しております、無理せず自身のペースで頑張って下さい！！ (4月5日 11時) (レス) @page26 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - 美羽さん» めっちゃ嬉しいです！！ありがとうございます😆 (4月1日 11時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
美羽 - めっちゃ面白かったです！！ (4月1日 11時) (レス) @page26 id: f695b89957 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ひめなさん» 本当にありがとうございます！！楽しみにしてくださってる方がいると番外編も頑張れます！！ (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：篠瀬 | 作成日時：2024年1月6日 10時
