Ep.100＿お姉ちゃん ページ20
「まーた怪我したのね、A」
医務室のベッドに座り、それまで揺らしていた脚を止めてAは素直に手当される。
擦りむけた膝には、まだ赤い血の気配が残っていた。
『だって、エマが怪我しちゃいそうだったから…』
言い訳じみた咄嗟の弁解だが、責められた動機ではない故に心を鬼にできない。
怪我の多い妹に、リリーは今日も頭を悩ませていたが、年不相応に大人びたこの子の世話を焼けることを嬉しく思っている節もあった。
「はいはい、確かに立派よ。
だけどね、君のことが心配でならない誰かのことも、ちゃんと気にかけてくださいな」
『どこにいるの、そんなヤツ』
「A……」
何度も伝えようと試みた。
だが類まれなる頭脳に恵まれたせいで、彼女は人を疑うことを覚えるのが早すぎた。
「あたしも君も、いつまでも一緒にいられる訳じゃないの、分かるでしょう？」
『…でも、私は私よりエマの方が好きだし、エマには怪我してほしくないよ』
不満そうに唇を尖らせたAに、リリーはしゃがんで視線を合わせ、妹の頬を撫でる。
「だからだよ。怪我してたら守ってあげられないわ。
いざとなった時に、大事な家族を助けてあげるために、君は君自身も大事にしなきゃいけないの。
大事な人の元へ、その身一つで走って行ってあげられるようにね」
・
怪我人の処置に追われていながらも不穏な気配を感じ取ったAが、エマ達の元へ走りたどり着いたのは、リリーが倒れる正にその時だった。
切らしていた息を戻すことも忘れ、リリーの方へ駆け出していた。
鬼は既に王兵に斬られ、危険はない。
しかし危険があったとしても、躊躇う道理はAにはなかった。
力なく横たわったリリーへエマ達が必死に呼びかける側に座り込み、彼女の手を取った。
『リリー…』
嘘。
せっかく、また会えたのに。
Aの心は、まだ現実を受け入れない。
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篠瀬(プロフ) - 弓月有無％さん» コメントありがとうございます😊たくさん書いてくださってとっても嬉しいです！番外編、楽しんでいただけたら幸いですが、全然更新できてなくて申し訳ないです…これからも頑張りますね😍 (4月11日 20時) (
レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
弓月有無％(プロフ) - 完結おめでとう御座います！！何度も読み返しており面白く、完結後もまた、読み返したいなと思います！本当に素敵な物語でかっこいいストーリだと思いました！番外編の方も楽しませて頂きます。是からも応援しております、無理せず自身のペースで頑張って下さい！！ (4月5日 11時) (レス) @page26 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - 美羽さん» めっちゃ嬉しいです！！ありがとうございます😆 (4月1日 11時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
美羽 - めっちゃ面白かったです！！ (4月1日 11時) (レス) @page26 id: f695b89957 (このIDを非表示/違反報告)
篠瀬(プロフ) - ひめなさん» 本当にありがとうございます！！楽しみにしてくださってる方がいると番外編も頑張れます！！ (4月1日 8時) (レス) id: e526e5a105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：篠瀬 | 作成日時：2024年1月6日 10時
