Ep.44＿不死身の怪物 ページ10
『キリがない…！』
持ってきた弾倉は20×7=140発の弾丸。
今撃ったので48発目。
もう既に三分の一以上使ってしまった。
催涙弾も効くには効いた。
だが次から次へと……
キレたあの多勢。何弾撃ち尽くしても埒が明かない。
弾丸だけが減っていく。どれだけ撃っても再生する。
しかもその度、何度も何度も形を変えて。まるで不死身の化け物だ…！
『＿＿！』
いや違う。不死身じゃない。
ソンジュが言ってたじゃないか。
"鬼は殺せる"。
1000年前の人間にも。1000年前の技術でも。
爆弾なんかの特別な道具はいらない。
つまり自分達にもできる。
けど、それが分からない…！
『！レイ！』
鬼が伸ばした手がレイに覆い被さる。
「A！目だ！顔の中心付近の目！」
『＿＿！！』
そうか、だから仮面＿＿
その場で銃を構え、狙いを定めて発砲。
運良く一発で顔中心＿＿目に命中し、レイは鬼の魔手から逃れた。
随分高所まで来ていた鬼は、絶命しそのまま重力に従って落ち、地上に叩きつけれた。
「再生しない！」
「よし走れ、逃げるぞ！」
「このまま最低限の反撃だけしつつ別の鬼の縄張りに抜ける！
オッサン何種類もいるような話ししてたろ、群れ同士ぶつけて俺達から目を逸らす！」
「その後予定通り縄張りの外へ抜けるぞ！」
「『了解！』」
「お疲れ」
その日の夜。
やっと縄張りから脱出できたエマ達は、盛大に息切れしながら、その場にへたり込んでいた。
「いやあーまさか自力で縄張りの外まで」
軽快な笑い声を漏らすオジサンと、震えながらオジサンへの苛立ちを発散しているレイ。
そして、先程まで空を仰いでいたエマが言った。
「オジサン、生きてるよ」
「私達、ザコだけどまだ生きてる」
〈どうせ死ぬ。
すぐに死ぬ。
確実に死ぬ〉
「…そうだな」
・
生き抜いた…鬼の殺し方も分かった。
でもあの後何度も外した。殺せても難しい。
あれから更に19発…残弾は73発。
今日はまだ片道の一日目。
片道目標4日間。往復だけで最短後7日。
後7日…7日もあるのに。残りたったの73発。
上等だ。
『…何とかしてやるさ』
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作者名：篠瀬 | 作成日時：2023年2月1日 8時
