第194話「不満と怒りの応答」夢主 ページ10
「命がおしければうせなさい、
冷酷に、残酷に、確かに殺気を放ちながらそう言い放つレジーナに、鈴音さんは一歩引いたような静かな微笑みを浮かべ、反撃する。
「それはレジーナちゃんの主の方向性？」
「……ころすわよ。お前ごときが私の名前を口にするだなんて、おそれおおいと知りなさい。それに……私はいのうだけれど、じんかくをかくりつしている。いろはが「ころす」だなんてけがらわしいことを私にめいずるはずがなくってよ。」
バチバチと言い争いを繰り広げるレジーナと鈴音さんに、私達はハラハラとしながら見守っていた。
「……そう？本当に？だって、暁さんって……
「あら、思っていた以上に頭は回るのね？ほめてあげても良くってよ。首をさしだしなさい。私のてでころされる、というめいよをあたえてさしあげるわ。」
「殺されるのは嫌だなぁ〜〜、なぁんて。」
「ちょっ、ちょっと、そこまでにしよう、鈴音ちゃん、レジーナちゃん！」
本格的に口喧嘩が激しくなってきた所で、敦くんが止めに入った。
私は少し安心する。
私には、止めに入る資格が無かったから。
この状況を生み出した太宰さんも、それを利用したレジーナも、私の為にしてくれていることだったから。
そうして敦くんに連れられ、渋々去って行く鈴音さんを見ていた私達に、恐る恐る、といった様子の谷崎さんが「あのー……」と声を掛ける。
「どうしたの、たにざき。何かききたいならさっさと口に出してみなさい？」
「えッと、じゃあ……。さッきレジーナちゃんの言ッてた、ジャヒーって何なンですか？」
「あら、そんなこと？ジャヒーっていうのはゾロアスター教の神のひとはしらで、おんなあくまのひとりよ。」
「そして補足するなら、「性悪女」って意味の名前でもあるけれどね。」
「性悪女、ですか？鈴音ちゃんが？」
多少普段より冷たく感じる声色で谷崎さんの疑問に応えたレジーナと、そんなレジーナに太宰さんは肩を竦めて補足した。
そんな二人に、谷崎さんは心の底から不思議そうに「良い子なのに。」と言う。
谷崎さんの言っている事は、大方間違ってはいないのだが＿＿
「気にしないでいいわ、たにざき。私の感じ方……受け取り方のもんだいよ。りかいするひつようは無いわ。」
レジーナはそう云うと、ふんわりと笑ったのであった。
第195話「喧嘩するほど仲が善い？」夢主→←第193話「再び調査開始」夢主
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作者名：業猫 | 作成日時：2020年8月31日 21時
