第200話「__雨のち晴れ、所により虹!!」夢主 ページ16
「__なァ、ラブ。お前、もしかしていろはに付いて行きてェんじゃねェのか。」
ラブの瞳を真っ直ぐと射抜いた中也さんに、ラブは初めて、中也さんに対して満足げな表情を浮かべ、「みゃあ。」と鳴いた。
……如何やら中りらしい。
「……困ったな。今のラブはエリス嬢の友人な訳で、勝手に連れて行くわけにはいかないし。」
そう、人の言葉を理解しているとは云え、ただの黒猫であるラブが自由に本拠地内を歩けているのは「首領の大切にされているエリス嬢の
それが無ければ、幾ら賢いとは云え、只の猫にしか過ぎず、その猫の為に負うにはリスクが大きすぎる。
……機嫌を損ねることにはなるが、ここは説明して諦めて貰う他無いだろう。
私がそんな結論に達し、口を開きかけたその時の事。
いつの間にか何処かへ連絡していたらしい中也さんが、にっかりと笑う。
「善かったな、ラブ。
カラカラと笑う中也さんに、未だ右肩に乗ったままのラブは「みゃあ!」と、得意げに鳴く。
どうやらラブも知っていた様だ。
「じゃあな、ラブ。元気でな。」
「みゃぁみゃ、にゃあ!」
優しく微笑む中也さんに、ラブは嬉しそうに返事をする。
……待って、つまり、私。
「……ラブに、未来の私にはラブが必要だって判断された……?」
ラブは元相棒だ。
信頼しているし、頼りにもしている。
例え戦闘能力は無くたって、だ。
その最大の要因は、太宰さんと同じかそれ以上の頭の良さだ。
「……つまり、私。」
ラブの予想する未来の殆どで、「死んでいる」のだ。
何が原因かは判らない。
今担当しているこの事件かもしれないし、一応の終幕は得た組合が原因になり得るかもしれない。
或いは、「今は知らない何か」が原因かもしれない。
原因はわからないけれど……嗚呼、と私は思う。
「……そういうこと。ラブ、私頑張るね。」
私はこれから、ラブがまた私から離れても良い、と判断するまで……常に気を張っているべきなのだ。
第201話「私の友人は今日も愛に振り回される。」ラブ→←第199話「令嬢の機嫌は雨のち__」夢主
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作者名:業猫 | 作成日時:2020年8月31日 21時