第129話「襲撃の真の狙い」夢主 ページ37
「うん……そう、敵襲が。それで？」
電話の向こうのソルが、少し微笑んだのを感じた。
『無事だよ。ただ……罠に掛かってしまったかもしれない。』
「……罠？」
私が訊き返すと、ソルは何時もよりほんの少し低い声で答える。
『嗚呼。
「……詰まり、襲撃の真の理由は、私達の拠点の割り出し？」
『その可能性が高いね。…いろは。』
“どうする？”。
ソルは、私にそう問いかける。
私は少し考えて、口角をグッと上げた。
「そのまま、気が付いていない様に。私が拠点の防衛に当たる。そうすれば、幾ら数で勝るマフィアとは言え門前払い出来る。」
直ぐ近くで聞いていた太宰さんは、少し微笑んで頷いて下さる。
私はそれを横目で見ると、微笑み返した。
『…OK,分かった。じゃあね、いろは。もう直ぐ着くと思うよ。』
「了解。じゃあまた後で。」
そう云うと、私は通話を切り、直す。
「……成長したね、いろは。前までの君ならきっと私に意見を求めていた。…だろう？」
「…！有難う御座います！」
太宰さんは優しく微笑み乍らそう云い、私の頭を撫でて下さる。
私は、少し目を見開くと笑って答えた。
「……仲、良いですね」
「まぁね。」
直ぐ近くで、そんな私達を見ていた敦くんは近寄ってくるなり、力なく微笑んだかと思うと、そう云った。
そんな敦くんに、太宰さんは自慢げに答えていた。
…太宰さんが、敦くんに対して威嚇するような笑顔をしていたことを、私は知らない。
兎も角、私は少し微笑むと敦くんに答えた。
「仲がいい、とかじゃないよ。…だって、私と太宰さんは師弟だもの。良いも悪いも無いの。」
「そう……なんだ……？」
訊き返す敦くんに、私は微笑んで答えた。
第130話「意地悪…？」夢主→←第128話「ソルの微笑みの理由」アグラソル
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作者名：業猫 | 作成日時：2019年7月10日 12時
