第115話「衣装の真実」夢主 ページ22
「え、何で敦の格好があんなみょうちくりんなのかって?」
鏡花ちゃんからの質問を復唱する与謝野姉さまの言葉が、私の隣で一緒に書類を運んでいた敦くんの心にグサッと刺さる。
「それは………___」
_____
「__という訳で、敦くんの入社を推薦したいのだけれど」
私は未だ眠り続ける少年…敦くんをつんつんと突きながら、太宰さんのその言葉を聞いていた。
「俺は反対だ!犬猫を拾うかのように軽く言いおって!だからお前はいつも__」
「というか、社長に会わせるならこの格好はまずいですよ。」
「面接にスーツは基本だしねェ…」
…国木田さんの言葉は、残りは何時ものくどくどとしたお説教だったので割愛する。
その後ろで、賢治君はごもっともな事を口にし、与謝野姉さまもそれに同意する。
「ですよね。私も前職の時、太宰さんに拾っていただいたんですけど…お洋服用意して頂きましたし。」
私は突くのに飽きて、スカアトについてしまった埃をさっさっと払いながら立ち上がり、更に同意する。
「へ?私が払うの?やだよ、お金ないよ」
「云うと思ったよ」
「太宰さん……」
「はいはーい、ここで天才の僕から
太宰さんの言葉にツッコんでいた私と与謝野姉さまや、まだお説教を続けていた国木田さんは唐突な乱歩さんの言葉に驚く。
「
私が疑いの目でそう云うと、乱歩さんは自信満々に胸を張って頷く。
「皆で分担してばらばらに衣服を買ってきて着せる…というのは?」
「何それ、面白そう!流石乱歩さん!」
「おい、結局割り勘では無いか!」
「ペットの世話の末路は大抵こんな感じだよ。諦めな。」
「はぁあ……。何でそう、面白いとかそうじゃないとかで……全く。」
きらきらとした目で乱歩さんの言葉に乗る太宰さんに、国木田さんは噛みつく…が、与謝野姉さまに悟される。
一方私は、大きな溜息を吐いていた。
_____
「…てわけだ」
鏡花ちゃんからの視線を浴びた敦くんは、え?と素っ頓狂な声を出す。
「これ、正装じゃなかったんですか!?」
「えっ、うん。」
…因みに私が用意したのは靴である。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時