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第113話「戦闘開始!」夢主 ページ20

二人組の一人がナイフを大きく振る。
私は一度一歩下がってそれを避けながら、女王を二人の内後ろにいる方の一人の背後に移動させ、峰内を狙う…が、気付かれて避けられる。

ザッザッ…た…タタン……

リズミカルな足音が、まるで踊っているようになる。
背後では、手だけ異能を発動した敦くんが雑魚達の相手をしていた。
少しの負傷は有るようだが…まぁ、この程度なら大丈夫だろう。
私はそう判断し、再び前を向く。

「……!」
「…自分の血を見るのは久々か?探偵社」
「…痛みも、血も久々で驚いちゃった。…でも、得物を奪われるの、久々なんじゃない、もしかして?」
「さて、どうだろうなぁ。」
「対して差は無いけれど。」

圧倒的強者の前には、幾ら数を揃えようと幾ら武装しようと、無力なだけなのだ。
それは、痛い程私がよく知っている。私の足元にはさっきまでこの二人が手にしていた小型ナイフが落ちていて、二人の内一人は女王が捉えていて残りの一人も今入れた蹴りで失神した。
それから私は女王を消すと、捕まえていた方の男のお腹に打掌(パンチ)を贈って敦くんに加勢する…筈、だった。
少しの気の緩みだ。
ほんの、少し。

…だが、その少しが命取りになる。

「しまっ……!敦くん、離れて!鏡花ちゃんの元に行って、ソルに電話してって伝えて!」
「え…!?で、でも……!」

攻撃をかわしながら、驚いた様子でそう云う敦くんに、私は何とか言葉をつなげる。
…正直、もう限界だ。









「女王が、暴走する___!」









私のその言葉に、前回のことを思い出したらしい敦くんは目を見開くと…足に虎化を掛け、一気にビルの上まで跳躍すると心を決めたように叫ぶ。

「…分かった、僕は太宰さんを連れてくる!だから……!」

“いろはちゃんも頑張って”。
敦くんは、いつになく真剣に…そして優しく、そう云った。

意識が遠のいていく中、私は優しい言葉に包まれていた。
そして私は、女王に一つだけ願う。

鏡花ちゃんを、ソルを、太宰さんを…敦くんを、仲間だけでも、傷つけないで欲しい…と。
女王は私を包み込むように抱きながら…もし仮に感情が有るのなら、嬉しそうに__そう、とても嬉しそうに、笑っていた。

第114話「言い訳」夢主→←第112話「事件の進展」夢主



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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時

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