第105話「此処に居る資格」中島敦 ページ12
僕が咄嗟に投げた鍵は、運が悪いのか良いのか…モンゴメリの足元に転がっていく。
いろはちゃんの異能で幸い、傷は負わなかったが彼が居なければ…確実に僕の血は流れていたし、更にあの男性が叫ばなければ僕が今こうやって立てているかも怪しい。
…運に恵まれた、という訳だろうか。
「鍵でドアを開けたら勝ちじゃあないのか!」
「…そうよ、
僕の言葉に、モンゴメリは嘲笑う様にそう云う。
…そうか。
最初から、勝つ方法なんて…無かったんだ…………!
「どうしたの?お遊戯はこれからが本番よ!貴方は鬼遊の天才みたいだけど…
「くっ……!」
僕は攻撃を避けながら、考えた。
打つ手が、無い……。何時かは捕まる。此処から逆転なんて、僕には無理だ!もう……太宰さん達を頼るしか無い!
「お友達を捨てて逃げる気!?」
「敦さん!」
モンゴメリとソル君の声は僕には届かない。
この状況でも、いろはちゃんなら…太宰さんなら、きっと手を思いつく。
…でも、僕には無理だ!
こんな過酷な場所に僕が居る資格なんて、無かったんだ!
僕がドアノブに手を掛けようとした、その瞬間…__
「…駄目だよ、少年。敵はあっちだ。」
体が後ろに引っ張られ、僕はその衝撃ですっこける。
ソル君は心配そうに此方に駆け寄って来、モンゴメリはポカン…とこちらを見つめていた。
「この
その男性は、僕を見つめてそう云った。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時