第94話「折り紙」夢主 ページ1
報告書を書き終わり(因みに太宰さんの方がほんの少し早かったので勝負は私の負けである)、伸びをしていると社長に声を掛けられた。
「……暁、これで遊べ。」
「社長?……これは__ってもう居ない……。」
散歩(?)に行ってたらしい社長は私に何やら紙袋を渡すと去っていく。
中を見てみると……中には折り紙が入っていた。
「……嗚呼!鏡花ちゃん、おいで。折り紙で遊ぼう。」
「折り紙……?」
「うん。社長からの差し入れみたい。」
「あら、折り紙ですか?私もお仲間に入れて貰えませんか?いろはちゃん、鏡花ちゃん。」
「ナオミちゃん。……勿論!」
太宰さんに頼まれ、お茶を運び終わったところだったらしいナオミちゃんは、お盆を近くの机に置き、私達が座っているソファの向かい側に座る。
「私、鶴折るの得意なんですよ?……ほら!」
「ナオミちゃん早い……でも何で?」
私がナオミちゃんにそう聞いてみると、鏡花ちゃんも同じだったのか、隣でコクコクと頷いている。
「それは__?」
「それは、ボクが風邪ひく度に千羽鶴折ってくれてたからだよ。……ね?」
さっきまで敦くんと話していた谷崎さんは、苦笑いしながらそう云う。
「……千羽鶴?」
「うん、鶴を一杯折って繋げたやつのことだよ。」
「早く病気が治る、おまじないの様なものですわ。」
「……じゃあ、私も誰かが風邪ひいたら……折る?」
「うーん、普通は風邪では折らないかな……例えば入院する位の怪我とか病気とかじゃないと。」
「……実質無いンだよね、そンな機会。」
「与謝野姉さまは偉大だからねぇ……。」
鏡花ちゃんからの質問をきっかけに与謝野姉さまの偉大さを噛みしめていると、視線を感じ、辺りを見回すと、敦くんと目が合った。
「……!」
「……?」
目が有った瞬間、真っ赤になって顔を逸らした敦くんに、私は首を傾げたのだった。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年7月10日 12時