第67話「ソルの長所」夢主 ページ20
「さて、ソル。先ずはこの首輪……羅生門で食べてくれる?」
「え……!?で、でも……!も、もし失敗したら……!」
私の言葉に有り得ない、出来ない、とでも云うように声を荒げる。
「大丈夫、私も異能発動させるから。」
「……本当に、善いんだね?」
ソルの言葉に私が至って真面目な表情で頷くと、ソルは諦めたように……厭、正しくは腹を決めた表情を浮かべた。
そして静かに芥川さんの姿になり……慎重に羅生門を襲る襲るといった風に、首輪に纏わせ、首輪を喰らう。
首元がくすぐったくって、私は声を漏らした。
「んっ……__」
「……で、出来た……筈、だよ。」
「……ほら、出来たでしょう、ソル!!」
私は傷一つ付いていない事をほら、と自慢げに伝えて見せると、ソルはどっと疲れたような表情をする。
「でも、それはいろはが異能を……__」
「ううん、使ってないけれど?信じてたからね。」
私が笑ってそう笑うと、異能を解いたソルは真っ青になった。
「な、何で……!そんなことしたら、死ぬかもしれないのに……!」
「……どうして?確かに、ちょっとだけ怖かったけれど……でも、私が見込んだソルだし、別に心配することは無いと思うけど。」
「……でも、それでも、そうだとしても、だ……__!!」
「でもじゃない。ソルは、細かい作業が得意でしょ。芥川さんと違ってそう云う事には秀でてるんだから。自信過剰は考え物だけど、無さ過ぎるのはもっと醜いと思うけど?」
「……つまり、自信を持てってことかな?」
私は答える代わりに微笑む。
すると、ソルは力なく笑い……其れから、「口が悪いんだから」と苦笑いしたのだった。
「まぁ有難う。さて……じゃあ、マフィアから抜け出しますか。」
「……え?もう?」
「行くよ〜ソル。」
「ま、待ってくれよ、いろは!」
私は微笑みながら見張り達の首元にチョップを食らわせ……気絶させたのだった。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年6月13日 11時