とある昔の話 ページ14
これは、昔”私”が体験した不思議な夢の話だ。
「・・・ここ、どこ?」
私が小さいころ見ていた夢、かどうか定かではないけど。
寝たら自分の知らない場所にいることがあった。
そこは何時も薄暗く、月しか明かりがない場所で。
幼い私はいつもビクビクしながら冷たい廊下を歩いていた。
「誰かいるの?」
しばらく歩いて、大きな扉がある。
その前に立つといつも聞こえるんだ。誰かの泣き声が
__その日は意を決して声をかけたみた
「だ、誰……?」
「わたしはA。
あ、あなたのおなまえは?」
その今なら見覚えのある少年は”敦”と答える。
敦は私におびえた目を向けるので昔の私は大層困った
「いつも、泣いてるの、君なの?」
「う、うん。
……院長先生が、怖くて」
弱々しく泣く彼が痛々しくて見ていられなかった
だから私はこう云ったのだ。
___友達になろう____
「ぼ、僕でいいの?」
「あつしがいいの。わたし、あつしと友達になりたい」
その日が始まりだった。
それから、夢を見る日はいつも敦と遊んだ。
引っ込み思案だった私にできた初めての友達だったから
とても、とても嬉しかった。
行くのはいつも夜だったから静かにこっそりして
本を読んだり、話し合ったり。
そんな些細なことしかできなかったけど、楽しかった。
だから多分、あの人も死なずに済んでるんだろう。
まあそれは置いておくとして。
数週間経ったときに、ばいばいしようとした敦に
いきなり名前を呼ばれた。
「ばいばい、また明日ね」
「……Aちゃん。」
「なあに?」
「Aちゃんと、ばいばいしなくていい時、来るかな」
31人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:露西亜帽 | 作成日時:2018年6月4日 23時