戦果に、歪笑(シホノside) ページ32
(シホノside)
ミソラ第二中の前で、私は腕を組み、ユウジを待っていた。大通りを通る人を見て、ユウジを目で探す。
いつまで待っても出てこないからやっぱりとは思ってたけど、またジン君達はどこかから知らないうちに出ていったみたい。ユウジから連絡があった。二手に別れて正解だった。
それにしても本当に、ジン君達はどこから出てるんだろう？
「…ねぇあの子、ちょっとかわいくない？」
「声かけてみなって」
「いけるかな…」
横を見ると、高校生くらいの男の人がヒソヒソと話していた。
(…そうよ、私はかわいいのよ！)
だからジン君だって、私を好きになるはずだった。
可愛くて、愛らしくて、男の子に好かれる私。今までにも何回か告られたことだってある。
だからジン君も、と思ったのに、あのAとかいう女にジン君はたぶらかされた。
あんなちょっとクールに見えるだけの完璧女ぶった悪女に。
皺の寄りかけた眉間を直した。男の人がこっち見てるんだもん、ちゃんとしなくちゃ。
「ねぇ君、俺達とちょっとどう？」
「ごめんなさぁい、今はちょっとぉ…」
手を口元に持ってきて間延びした感じで話して、精一杯女の子らしく。
「そっか、残念」
その人達は、私の前を残念そうに通り過ぎた。
ちょっとだけかっこいいかなって思ったけど、私にはジン君がいるもんね。浮気したら怒られちゃうもん。
「おまたせー」
そして、今度はユウジ。
「…どうだった？」
私は、ユウジに結果を尋ねた。勿論、いい結果を期待して。
「バッチリ、バッチリ。Aのヤツめっちゃビビってたし、最後は逃げてったよ」
口元が、ユウジの前だというのに、その言葉で醜くいびつに釣り上がった。慌てて袖口で口元を隠す。
(あの女が、逃げた！)
あの悪女がみっともなく逃げるところを想像して、目元が細くなる。いびつに歪んだ顔ごと隠した。
「おい、大丈夫か？」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ…」
こんなに笑いたくなったの、久しぶり。こんなにおかしいの、久しぶり。ほんとに。
ざまあみろ、悪女め。ジン君をたぶらかしたりなんかするから、罰が当たったのよ。逃げるところを見られなかったのが、ほんとに残念だけどね。
「…ありがとね、ユウジ君！私、すっごい嬉しい！」
顔を上げて、精一杯かわいらしい笑顔で、ユウジにお礼を言った。
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獅童アイ(プロフ) - ありがとうございます(^^) (2015年5月30日 1時) (
レス) id: a17d650aa8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 更新待ってました！ とても面白いです！ (2015年5月30日 0時) (レス) id: 6a421b55e4 (このIDを非表示/違反報告)
ミユキ - そういえば、ジンの機体はなんですか。 (2014年1月19日 2時) (レス) id: 279bbfc8f3 (このIDを非表示/違反報告)
ミユキ - というか、これ、更新してるんですか？ (2014年1月19日 2時) (レス) id: 279bbfc8f3 (このIDを非表示/違反報告)
ミユキ - 色は機体に合わせたかんじで、市販されてない一点品。形とかはおまかせで。よろしく (2014年1月19日 2時) (レス) id: 279bbfc8f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：獅童アイ | 作成日時：2013年3月7日 19時
