【終わりのセラフ】小さな恋のお菓子を一つ。【短編集】

orange lover＊ラクス・ウェルト【蘭♪様リク】 ページ8

「なー、」


「………。」


「なーあ、暇なんだけど。」


「………。」


人間の子供たちの様子を確認してこい。

上からのそんな命令で、私は先程まで子供たちの相手をしていた。


で、報告から戻れば其処に居た。
普段では考えられない程甘えたがりになったラクスが。


ぎゅーっ。


「無視すんな。かーまーえーっ」


むすっと頬を膨らませたと思えば、私を思いっきり抱き締める彼。

身動きがとれない。……でも嫌じゃない。


「ラクス、」


「……何だよ。」


"如何したの"なんて聞けば、彼は私の肩越しに顔を埋(うず)める。


「最近Aと話してない。」


「うん。」


「……けど、フェリド様とは沢山話してるし。なんかすげぇ楽しそうにしてるし。」


「うん。」


「嫉妬、した。……あーくそ、格好悪いよな。」


ラクスが、嫉妬。
大好きな彼が、嫉妬してくれた。

格好悪いなんて、そんな。それどころか、嬉しい。


「ねぇ、ラクス。」


「……何。」


「好き。」


「はぁっ、！？」


ちらりと彼の方へ視線を向ければ、紅くなった彼の耳が見えた。

何だか可笑しくてくすくす笑っていると、私を抱き締める力を更に強めてくる。



「笑うなよ馬鹿、」


"……俺の方が、お前のこと好きだし。"


照れたような彼の言葉が、微かに聞こえてきた気がした。



orange lover
(オレンジの花言葉は、)
(愛らしさ、純粋。)

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