御神ヶ崎学園生徒手帳【松原千太郎】 (ページ7)

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ストーリーページ7

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「……テロの発生。憂いの、魔女……。」

先刻見たテレビの内容が鮮明に思い出される。
映し出された悲惨な光景はまるで映画のようで、現実の、しかも日本で起こったものだとは信じ難いものだった。

『日本こそが最強の国家である』。

これが国民にとっての認識であり、自分もそう思っていた。しかし、今日その日本に宣戦布告を行ったテロ集団が現れた。テロとは「政治的な目的を達成する為、暴力及び暴力による脅迫を用いること」を指す。……つまり、だ。もしこのテロ集団に国家が屈服した場合、日本国民が信じて疑わなかった"最強の軍事国家"の姿が崩壊することになる。それはきっと、国民に更なる混乱をもたらすだろう。

……それだけは絶対に避けなければならない。

政府からの発表、そして学長の会見によると、どうやら自分達はテロ集団への対応を任される───要は、前線に駆り出されることになるらしい。国家を維持する為に助力せよ、という大きな役目を与えられた。自分と同じ境遇の者の中には、それを光栄に思う者も、面倒だと思う者も、はたまた漠然とした恐怖を覚える者も恐らく居るはずだ。……では、自分は？

「少し、不安だなあ……」

自分の掌を見つめ、ぐっと握りしめる。
大きな役割を任された、それは良いことだ。しかし、自分にはそれを全う出来るだけの力が果たしてあるのだろうか。誰かを導く明るさも、道を切り開けるような強さも持ち合わせていない自分が。

───"役立たず"。

───"何も出来ないくせに"。

父の言葉が頭を過った。自分が無能であろうと突きつける、嫌な重圧。……それでも、それでもだ。命令を下されたのだ。足手纏いになろうが、自分は尽力を尽す必要がある。

「……俺は俺に出来ることを、やらなくちゃ」

大きく深呼吸をし、確かな決意を抱く。不安も、恐怖も、全部抱えたまま。為すべきことを、為すために。