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ぶっトんじゃえよ ページ21

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如何にも不服そうな顔をして、Aが拗ね始めた。
とはいえ、どうすることもできない。
よそのお家で何をする気にでいるんだろうねぇ……

「小生はねぇ、こうしていられればいいのさ」

そう言って、Aの顔を小生の肩に埋めるようにぎゅっと抱きしめる。
金髪から香る甘い匂いは、小生が仕事で入手したお香が移ったのかねぇ。

細い首、狭い肩、どこもかしこも可愛いお人形さん。

「抱きしめて、キスすんの、好き?」

「Aは不満かい?」

きっと少し息がしづらいだろうけど、腕は緩めてあげない。だって何されるかわかったものじゃないもの。

「あんたのそういう、……のぼせあがった処女みたいなとこ好きだよ」

「貶してる〜?」

「いやいや、好きなんだってば」

なんだい、のぼせあがった処女って……

こんな他愛もない愛情表現に、無類の感動を覚えるような。下手な快楽を知らないような。
おそらく、Aが言いたいのはそういうことなんだろう

「んー……夢中になるの、嫌い?」

「?小生はAに夢中じゃないか」

「違う。肉体の快楽は、相手も見えないくらい、色んなことを忘れられるから……」

Aが言う夢中って、そういう行為のことかい。……嫌だねぇ、プレイルームの男じゃないんだから。

「抱きしめて、キスをして……私を愛すると、あんたの中での私の輪郭がまた濃くなる」

Aは、小生に忘れて欲しいのかい?忘れてしまうほど、寂しいことはないじゃないか。
続く言葉を待って、とりあえず今は黙っていよう。

「今、生きている私を意識する方が辛くないのか」

辛いって、そりゃ辛いさ。いつかAを失う日が来るのもわかっているから。

でも、多分Aの言う辛いは、そういうことではない。

いけないねぇ、お墓で泣き出すから、この子に心配させてしまったみたいだ。

「….Aが生きてるのは、安心できるのさ….君はきっと死なないだろうねぇ」

信仰とか目的とか野心とか、そんなものは特にない癖して誰よりも生きるのに拘る。死に物狂いで生きている。デスサイズで切っても切れないような、堅い魂。

「……やなことあったらさ、やるかキメるか飲むかだと思うんだよ」

「おや、Aってイーストエンドの出身だったかねぇ?」

勘当されようが、元は貴族のお嬢さんなんだから。もっと可愛らしい案はなかったものかねぇ。
まぁ、兎も角、Aなりに小生の気を紛らせようとしてくれたんだろう。

永遠を誓う→←木漏れ日色



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足立甚(プロフ) - うっ...最高すぎた (5月25日 9時) (レス) @page25 id: a5c9d3b18a (このIDを非表示/違反報告)
ミィ - やったあぁぁぁ!!続編だ!!この作品大好きなので嬉しすぎます♡ (2021年10月3日 1時) (レス) id: d748bf27c1 (このIDを非表示/違反報告)
坂田銀糖(プロフ) - うわぁぁ、この小説を書いて下さいまして、ありがとうございます。応援してます。続きも気になりました! (2021年9月19日 8時) (レス) id: 4e79a91855 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Loot | 作成日時:2021年1月14日 22時

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