石橋を壊して渡らない ページ16
「何故僕をすぐにファントムハイヴ伯爵だと気付けた?勿論、アンダーテイカーが事前に教えていた可能性が殆どだが」
「でもあの日は事前に連絡することなく出向いた筈ですが……流石アンダーテイカーさん、直感の冴えた方ですね」
「馬鹿馬鹿しい。僕が、奴の感が優れていただなんて非論理的結論で納得できると思うなよ」
「左様でございます」
ですから、と。セバスチャンが言葉を続けて言うには、可能性が三つあると。
一つめは、アンダーテイカーが事前に教えていた
二つめは、何らかの機会にすれ違っていた
「三つめとしては……何処かで既にお知り合いになっているとか。公の場でないことは確かですが」
「公の場以外となるとかなり縛られる。叔母様と何か関係があるんだろうか」
少なくともそこでは共通の知り合いがいるとして、関係があると言っても間違いではない。
だがしかし、どうして奴が叔母様から剣を習っているんだ?
家系的に、自身の父から習うのが普通な気がするが……
「仮に、ファントムハイヴ家と何らかの関係をもつ人間が、僕たちの知らない理由でロンドンに住んでいるとする」
これは全て、仮定の話だ。どれもこれもまだ決まったわけではないこと。とはいえ、目を光らせておく必要は十分にあるだろう。
「味方であれ敵であれ。放っておくには恐ろしいお力をお持ちなんですね」
「記憶違いでなければな。そもそも、奴が仮に銀髪の旦那を手に入れたところで、勘当が解消になるとは思い難いだろう」
「何か別の理由がおありで、あの店にいついているのかもしれません」
何か、別の理由……
裏の情報とすれば、わざわざ住み込む必要もないだろう。葬儀屋の見習いならば、嫁だとか結婚だとか言い出すには冗談がすぎる。
断続的に必要な裏の情報があるとすれば、毎回笑わせにいくよりも、確かに同棲する方が手っ取り早いが
「結婚前の男女が同棲、ねぇ……」
奴らの周りにそれを咎める奴は勿論いないだろうが、如何なものか。
「兎も角、奴に何か目的があるなら僕はそれを知らなくてはいけない」
どうやらAと言う女が、ファントムハイヴ家と全く関係がないわけではないようだからな。
「向こうにはアンダーテイカーもいる。……奴らばかり我が一族の過去に詳しくては世話ない」
考えすぎで結構だ。ただ、Aがわずか0.001%の確率でも僕の過去を知っていたら
「石橋を叩いて渡るくらいなら、叩き壊して橋を作り直す方がよっぽど安全だ」
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足立甚(プロフ) - うっ...最高すぎた (5月25日 9時) (レス) @page25 id: a5c9d3b18a (このIDを非表示/違反報告)
ミィ - やったあぁぁぁ!!続編だ!!この作品大好きなので嬉しすぎます♡ (2021年10月3日 1時) (レス) id: d748bf27c1 (このIDを非表示/違反報告)
坂田銀糖(プロフ) - うわぁぁ、この小説を書いて下さいまして、ありがとうございます。応援してます。続きも気になりました! (2021年9月19日 8時) (レス) id: 4e79a91855 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Loot | 作成日時:2021年1月14日 22時