スカウト ページ11
広い屋敷に通されたが、出迎えた使用人は極めて少ない。
代表として出てるんだろうか。これで全員なら、よっぽどの重労働だろう。
「伯爵!お久しぶりね」
「あぁ、久しぶりだな。変わりないか?」
「お陰様で。貴方こそ、また痩せたんじゃないの?」
「む、そんなことは……まぁ、いい。それより悪かったな、急な変更で」
階段から降りてきたお坊ちゃん、じゃない、伯爵を抱きしめるようにジネヴラが駆け上がる。
真っ黒なスカートから、真っ白なペチコートが覗いて見えた。そこは、白いのか。
なんかいいな。
「大丈夫よ。クオリティーはいつも通り完璧だから」
「それはテストが楽しみだな。で、お前は」
ジロリ、というほど視線は痛くなかった。もちろん彼は誰かと聞きたいわけではなく。
何故いるんだ、という。
何だろう、すごく申し訳なくさせる聞き方だな。
「あ、あー、……ご機嫌よう、ファントムハイヴ伯爵。ご無沙汰しております……あの、勝手にきた事に関しては本当に申し訳なく思っているので何とぞごりか、」
「今年はお前なのか。……まぁ、中流階級といえば、中流階級だが……」
想像していた反応と違う。
子供の遊び場じゃないぞって子供に言われるんだろうと思いながら馬車に揺られていたのに。
「今年、は」
「ジネヴラに頼んでいたからな。テスターの補充」
「あぁ、そうか……」
そういえば、私はマダム・レッドの代わりだった。
「うちの商売相手は貴族ではないんだが……お前は……」
言い淀んでくれるなよ。勘当は勘当、庶民は庶民なのだから。
「……葬儀屋の下働きですよ、どうせ」
「…………うちで働くか。あそこよりマシだぞ」
「あらあら、スカウト〜?」
それは、中々素敵なお誘いだ。女王の番犬の、その犬になって飼われるのも悪くない。剣を振り回すのも得意だ。
「よろしいのですか?」
メイドは、嫌だな。あの長いスカートじゃ動きにくいだろう。最も、本来私もあれくらいの丈のものは普段から身につけなくてはいけないんだが。
執事は、いける気がする。家事は苦手じゃないし、セバスチャンさんの装いは私に似合わないはずがないと思う。
「用心棒としては確実に有望だろうな」
家事だとか、そんなものはさておき。この家は強さに重きを置く
とはいえ、だ。人前では殆ど剣を振るったことのない私の強さを、何故この少年が確信できるんだろうか
「よろしいわけないだろ〜う?まったく、着いてきてよかったよぉ」
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足立甚(プロフ) - うっ...最高すぎた (5月25日 9時) (レス) @page25 id: a5c9d3b18a (このIDを非表示/違反報告)
ミィ - やったあぁぁぁ!!続編だ!!この作品大好きなので嬉しすぎます♡ (2021年10月3日 1時) (レス) id: d748bf27c1 (このIDを非表示/違反報告)
坂田銀糖(プロフ) - うわぁぁ、この小説を書いて下さいまして、ありがとうございます。応援してます。続きも気になりました! (2021年9月19日 8時) (レス) id: 4e79a91855 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Loot | 作成日時:2021年1月14日 22時