・ ページ7
＊
ローは甲板の端に座っていたが近付く気配にそっと目を開ける。
「寝れねぇのか」
「なんか色々あり過ぎてね」
貰ったコーヒーを差し出せば「寝る前にカフェインか」と文句を言いつつも受け取る。
ローは夜型だから寝る前というのもおかしい話で、小さな反抗にちょっと笑えてしまう。
何笑ってんだと気付かれたが、何か？と惚けて隣に座った。
寒くはないけれど、ハーブティーの温かさが染み渡り自然と力が抜けていく。
少し丸めていた身体を後ろに倒し壁に寄り掛かった。星が綺麗だ。
「…どうなるんだろ」
今まで何が起こってもおかしくない程の経験をしてきたが、今回ばかりは不安を隠せない。
多分、自分だけが夢という形で関与してるからだ。
――何で私なの
再び脳内がぐるぐると考え出していると、不意にぽすっと足に重みが伝わった。
それは昼間と同じ。飲んでいた筈のカップは下に置かれている。
「また？」
昼間は中断されたからと再び身を預けたローは黙って目を瞑る。
決して表には出さないが、彼も同じ思いだった。
少し前から嫌な予感がはしていた。
航路を進めば進む程寝過ごす回数が増えていて、その内彼女が離れてくんじゃないかと思えて仕方がなかった。
そしてそれが現実になろうとしている気がしてならない。
――寄りによって…
偶然か、Aでなきゃいけない理由があるのか。
どっちにしろ目の届く範囲に居てもらわなければ安心出来ない。
「眉間に皺寄り過ぎ」
「…A、絶対俺から離れるんじゃねェぞ」
寧ろ離れようにも離してくれないでしょとAは思うが心配性なローに思わず笑ってしまえば、また何笑ってんだと睨まれた。
そんな二人が静かになった頃。
返しに来ると言ったAが一向に来なくて個人的に嫌な予感がしたサンジは、二人を見て固まった。
「クソ羨ましいじゃねぇか」
今すぐ蹴り落としてやりたいと思う。
こうして見ると恋人にしか見えない。いや、こうして見なくても日頃から付き合ってるのかと思う事があるが、そうでは無いらしい。
あんな目付きの悪い刺青野郎が相手なんざ俺は認めねェぞ。
けど、あのローがここまで一人のレディを気に掛けるとは…
「仮にも医者なら配慮しろっての」
夜の外で寝るなんて。
あくまでAの為にと持ってきたブランケットを掛けてやると、空になったカップを二つ手にそっと戻った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こまめ(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます！オチについてですが、ローかリヴァイ何方になるか現段階では決まっていません。アンケートで決めたり、分岐で何方も書く方法も考えてはいますが未定となっています。曖昧で申し訳ないですが、今後の展開を見守って頂けたら幸いです！ (2022年11月21日 11時) (
レス) id: 22f8f2f7cb (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか？続き頑張ってください。応援してます。 (2022年11月21日 9時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
こまめ(プロフ) - マカロンさん» 閲覧して頂きありがとうございます！亀更新過ぎて申し訳ないですが、今後ともよろしくお願いします(^^) (2022年4月29日 15時) (レス) id: 22f8f2f7cb (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - すごく面白いです！！ (2022年4月28日 16時) (レス) @page46 id: ca5fd49002 (このIDを非表示/違反報告)
こまめ(プロフ) - 聖羅さん» お待たせしてすみません！1ページではありますが更新させて頂きました。続きも早めに更新出来るよう頑張りますので、もう少々お待ち下さい。 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 22f8f2f7cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こまめ | 作成日時：2020年8月27日 1時
