８.調査兵団 ページ16
＊
見るからにお偉いさんがいそうな扉をノックも無しに開けるハンジに、それでいいのかと思いつつ部屋に入る。
そこには見事な金髪七三分けの男がいた。
「顔色も良さそうで良かった」
エルヴィン・スミスと名乗った男は紅茶でも入れようとソファへ誘うが、その優しい笑みに何となく違和感を覚える。
Aは従いながら緊張の糸を張った。
「単刀直入に聞こう。君は敵か？」
「言っている意味が分かりません」
初っ端からその質問か。
敵か味方なんてこちらにも言える事であり、敵だと答えれば不利になるのは当たり前。
かといって味方だと答えれば信じてもらえる可能性も低い。
どっち付かずな回答で返す他ない随分意地悪な質問だ。
「なら質問を変えよう。君は何者だ？」
「それも同じ返答で返させて頂きます」
まるで駆け引き。
時間を掛け一切相手から目を離さない二人に、もういいだろうと痺れを切らしたリヴァイが割って入れば途端に和らぐ空気。
「ハハ、試すような事をして悪かったね」
「いえ、エルヴィンさんの質問は最もなので」
「お互いに、だろう？」
張り付いていた喉を潤す為に紅茶を口に含めば気が緩む。
それからエルヴィンさんに此処の話を聞いた。
この国の人は壁の中で暮らしていて、その理由が巨人という存在がいる所為だという。
驚いた事に、私が知る巨人族とは全くの別物で人を捕食するそうだ。
想像しただけでゾッとする。
そんな巨人を討伐しながら調べ、人類の為に日々戦っているのが調査兵なのだという。
なんて所に来てしまったんだ。
早くもホームシックになりそう。
「簡潔に説明したが、つまり君は、その巨人がいる壁外に倒れていた所をハンジが見つけたんだ」
「そうだったんですね。助けてくれてありがとうございました、ハンジさん」
「やっぱめちゃくちゃいい子なんだけど！」
聞いた話はどれも自分の知識とは程遠いが、次は私の番だ。
「私は海賊です。一応賞金首でもあります」
「海賊ってなに？」
「ご存知ないですか？」
「知らねぇな…職業かなんかか？」
この大海賊時代に海賊を知らないなんて
「職業というか…海を航海して自由に生きる人の事を言います」
「海って塩でできてる水の事！？」
「え？まぁ、確かに塩水でしょっぱいですけど…」
まさか海を知らない？
うそでしょ…
お互い当たり前に知っている事を知らない事実。
これじゃまるで違う世界のようだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こまめ(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます！オチについてですが、ローかリヴァイ何方になるか現段階では決まっていません。アンケートで決めたり、分岐で何方も書く方法も考えてはいますが未定となっています。曖昧で申し訳ないですが、今後の展開を見守って頂けたら幸いです！ (2022年11月21日 11時) (
レス) id: 22f8f2f7cb (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか？続き頑張ってください。応援してます。 (2022年11月21日 9時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
こまめ(プロフ) - マカロンさん» 閲覧して頂きありがとうございます！亀更新過ぎて申し訳ないですが、今後ともよろしくお願いします(^^) (2022年4月29日 15時) (レス) id: 22f8f2f7cb (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - すごく面白いです！！ (2022年4月28日 16時) (レス) @page46 id: ca5fd49002 (このIDを非表示/違反報告)
こまめ(プロフ) - 聖羅さん» お待たせしてすみません！1ページではありますが更新させて頂きました。続きも早めに更新出来るよう頑張りますので、もう少々お待ち下さい。 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 22f8f2f7cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こまめ | 作成日時：2020年8月27日 1時
