序章 ページ1
＊
暗闇に覆われ、頼りはランタン作りの街灯のみ。
漂うのは爽やかな潮の香りとは違い湿り気のある篭った空気。
―――またこの夢だ
慣れたように道を行けば、辿り着く一件の家。
いや、家と言えるかどうか分からないそこには何度も足を運んでいた。
軋むドアを開ければ鼻腔を刺す匂いに顔を歪まざるを得ない。それでも構わず、Aは部屋の隅にある古びたベッドへ近付く。
腐りに腐った林檎のように萎れ痩せこけたまま生を遂げた女性を、もう何度見た事か。
だが、一向に立ち竦んでしまうのは、その傍らで幼い子供が身動き一つせず膝を抱えているからで。初めて此処を訪れた時、直ぐに察してしまった。
―――あぁ、この子の母親なのか
―――母親を亡くして子供も…
どんな想いで母を看取ったのだろう。もしかしたら、ただ眠ってるだけと思い込み、母が起きるのをずっと待っていたのかもしれない。
そう考えると心臓がずんっと苦しくなり、赤の他人。増してや夢の中の登場人物なのに何とかしてあげたくなってしまう。
ここまで変わり果ててしまえば自分の力を発揮する事は出来ないのに。
現実じゃない。夢だ。と自分に言い聞かせながら深く息を吐き冷静さを取り戻すAは、シーツの上から女性の亡骸にそっと手を添えた。
そして次に、壁に寄り掛かった小さく細過ぎる身体をそっと抱きしめる。
―――大丈夫、大丈夫
―――貴方はちゃんと愛されてた
自分に出来ることなんて何も無いが、せめて伝わっていて欲しい。
母親が大好きだったのだろう。じゃなきゃ、こんなになっても傍を離れないなんて事はしない。
勝手な解釈だがそうとしか思えなかったから、この場所に来た時は必ずこの行動を取る。
もういい加減伝わっただろうか…
少しして静かに2人から離れると、もう用は無い。部屋から出ると、途端に引っ張られる感覚と黒い視界と共に意識が浮上した。
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こまめ(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます！オチについてですが、ローかリヴァイ何方になるか現段階では決まっていません。アンケートで決めたり、分岐で何方も書く方法も考えてはいますが未定となっています。曖昧で申し訳ないですが、今後の展開を見守って頂けたら幸いです！ (2022年11月21日 11時) (
レス) id: 22f8f2f7cb (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか？続き頑張ってください。応援してます。 (2022年11月21日 9時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
こまめ(プロフ) - マカロンさん» 閲覧して頂きありがとうございます！亀更新過ぎて申し訳ないですが、今後ともよろしくお願いします(^^) (2022年4月29日 15時) (レス) id: 22f8f2f7cb (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - すごく面白いです！！ (2022年4月28日 16時) (レス) @page46 id: ca5fd49002 (このIDを非表示/違反報告)
こまめ(プロフ) - 聖羅さん» お待たせしてすみません！1ページではありますが更新させて頂きました。続きも早めに更新出来るよう頑張りますので、もう少々お待ち下さい。 (2021年7月7日 21時) (レス) id: 22f8f2f7cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こまめ | 作成日時：2020年8月27日 1時
