HEROs Love Story

34 ブラックウィドウside ページ34

ブラックウィドウside




「やだ今日お葬式でもあったの？
みんなして死にそうな顔して」




悲しげに肩を落とすハナコの部屋に響く私の声




『ナターシャお帰り！

任務はどうだった？』




「楽勝よ
いつものことでしょ？」




私を見つけて笑うハナコの笑顔にいつも癒される




だけど、今日のは何か違う




「また男どもが何かやらかしたのね？」





ハナコは、すぐに俯くからわかりやすい




『やらかしたとかじゃ…ないよ

ただ、わからなくて




恋ってなんだったっけ？
せめてそれが分かれば答えてあげられたのにって』




最後の一言でだいたい状況は読めたわ




『記憶をなくして、そんな感情まで忘れちゃったんだって驚いたよ




それに記憶が戻った時、実は恋人がいたりしたらどうしよう




記憶が戻るまで、、、怖くて恋なんてできない』




涙を流す横顔




「相手を傷付けちゃったのが辛い？

ここの男はそんなに脆くないと思うけど」




『だけど…悲しそうな顔してた…』




なんで泣いたりするのよ




私ここに、あの笑顔を見に来たの




「答えが出ないなら、出さなきゃいいんじゃない？




そして恋が分かった時、思う存分恋すればいい

案外単純でいいものよ？」




さぁ笑って




顔を上げたハナコの頬の涙を拭った




「ベイビーちゃんにはこんな顔、似合わない」




突然キョトンとするハナコ





『ベイビーちゃん！？

疲れてるんじゃない？
休んで来るといいよ』




心配されてしまう始末




「そうするわ」




半ば投げやりで外に出ようとすると
後ろからクスッと笑い声が聞こえた




『元気出たよ
ありがとう









ベイビーちゃん』




「何よベイビーちゃんって
ダサい」




そう、それよ




その顔

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