なな ページ27
食事を終え、お腹は満足したはずの和輝だったが…。
「翠さんっ!!あの趣味の悪い服でいいから返してよっ!!」
「え〜…だって、蒼くんが…。和ってばゴハン食べたのに怒りっぽい…」
「ゴハンはあなたが半分以上食べちゃったでしょう!?…ねぇ、これ嫌なの。だから…翠さん、お願い♪」
スカートの裾を摘まみながら可愛らしくお願いするものの…翡翠もどうやら蒼麒から何かしらの指示を受けているのか、なかなかイエスと言わず…。
怒った和輝は『翠さんなんて大っ嫌い!!』と叫ぶと、くるりと翡翠に背中を向けてしまった。
「かぁずぅぅぅ…怒らないでよぅぅ」
「ふんっ!!翠さんとは、もーおくちをききませんっ!!」
埒の明かない押し問答をしていると、扉がノックされ…先ほどの執事が片付けにやって来た。
「きちんと召し上がれたようで…ようございました」
「はい。ありがとうございました」
さっきまでの斜め45度な御機嫌はどこへやら…にこやかに対応する和輝を、ただ黙って翡翠はジロリと見つめている。
すると、執事が申し訳なさそうに口を開いた。
「あの…和輝様…」
「はい」
「実は、この度の挙式のお祝いを是非直接、和輝様に申し上げたいと仰るご婦人がお見えになっていらっしゃるのですが…こちらにお通ししてもよろしいでしょうか?」
「………え…」
「蒼麒様にとっても、彼女は大切なお客様なのです。どうか…」
『蒼麒にとっての大切な人』と言われてしまっては、無下に断ることも出来ず…。
和輝はその申し出に対し、うなずくことしか選択肢は無かった。
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作者名:芥子 | 作成日時:2017年4月20日 12時