にじゅう ページ12
まるで、クラスの『黒板係』を決めるかのように、アッサリと指示をしてくる蒼太。
「司会進行って……何も知らないのに!?」
疑問をぶつける秀を無視して、次は俊に向き直る。
「んでねぇ、岡俊は…パーティーのお食事担当で、ついでにデザートの補助に入って」
「………係……ついてねぇし…」
もはや、論点がズレていることにさえ気付かなくなるほど、俊は『何か』に麻痺してしまっているようだ。
「りーぃだっ!!俺は!?俺は何の係?」
次は自分の番だと気合いを入れている真人に、実に申し訳なさそうに眉を寄せる蒼太。
「朝倉ちゃんには係が無いの」
「ないの!?」
「その代わり、コレ持って取材に行って来て?」
「びでおかめら…」
「あのね、この島には手付かずの原生林があってね♪そこの動物たちと触れ合ってきてって。このV、次の動物特番に入れるから」
「ひとりで行くの!?」
「んー…仕方ないなぁ。じゃあ、助手を付けるよ。ヤブちゃん、あのコ連れてきて?」
さすがに1人では…と思ったのか、珍しく温情的な発言に軽く頭を下げて立ち去った藪沢が、すぐに助手を連れて戻ってきたのだが…。
「あーっ!!秀ちゃん、岡俊っ!!あのコさっきバナナの木を教えてくれたおサルさんだよっ!!」
……ということは。
蒼太によって、既に全てが仕組まれていたって事だから。
おサルと楽しそうに戯れる真人以外の2人はお互いに視線を合わせると、もう抵抗する気力さえ無くして弱々しく微笑みあうしかなかった。
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作者名:芥子 | 作成日時:2017年4月20日 12時