結局任務�� ページ8
「君は鬼なんだろう？」
細くて白い鬼。
まるで人を襲うなんて思えない。
…むしろこの鬼が襲われそうだわ。
「鬼だよ」
「あの方がおっしゃっていたのは君だね」
鬼の言う"あの方"は無惨の事だ。
無惨は私を狙ってるらしいから。
「そうかもね」
なんて話をしながら周りの気配を探る。
人の数は数十人ってとこ。
オニギリさんが逃がしてくれたらいいんだけど…
あの様子だとあまり期待出来ないな。
「僕は君を殺さないよ」
「でしょうね」
まず殺せないしね。
無惨が私を狙うなら殺す意味もない。
「ねえ、教えてほしいことがあるの」
しばらく時間を稼ごう。
その間にみんな逃げてくれたら戦いやすいんだけど。
「なにかな？」
「あなたは人を食べないの？」
「食べないよ」
私の問いに表情を変えることなく答えた。
「人間を食べるんじゃなくて支配したいんだ」
「支配？」
「恐怖で支配するんだよ。血を僕に渡さない奴は縛り上げて餓死させる」
「…餓死」
「でも血を僕に渡せば助けてあげるんだ」
簡単だろう？と微笑んだ。
なんて非道な事をするんだろう。
「逃げ出すものも血を渡さないものもいなくなる」
気味の悪い笑みで話を続ける鬼。
「僕からは誰も逃げられない」
ゾクッと背筋に寒気が走った。
私は死なない。
そんな事は分かりきってるのに"死"への恐怖が頭を支配して行く。
鬼の呼吸 壱ノ型 鬼気雷鳴
大きな音を立てて瞬きの間に五連撃。
鬼に叩き込んだ。
「突然切るなんて酷いじゃないか」
「それが私の仕事だから」
冷や汗が止まらない。
怖くて仕方ない。
「鬼同士の戦闘は意味がないけど…」
そこまで言うと微笑んだまま鬼が消えた。
「…っどこに」
振り返ろうとした瞬間、体が動かなくなる。
「君は刀を持ってるからね」
あ、死ぬかも。
なんて思った。
鬼はの血鬼術なのか地面が形を変えて私の下半身を包み込んでいた。
目の前で鬼が微笑む。
「君は死なないで僕を切れるのはずるいよ」
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作者名：enen♪ | 作成日時：2020年5月1日 21時
