甘い蜜�� ページ5
蝶屋敷に帰って来てする事もなく鍛錬する炭治郎たちを見ながら座ってた。
もちろん私は鍛錬なんてしません。
「見てないでAも参加してよ！」
「やだよ。善逸また泣いてんの？」
「泣いてないから！！」
なんて騒ぐ善逸の目から流れてるのは鼻水かな？
「善逸！ちゃんと相手を見ろ！」
「隙ありぃ！！」
炭治郎が審判で善逸と伊之助が竹刀で戦ってるらしい。
まあ、こっちを見てた善逸の頭に伊之助の竹刀が見事に入って善逸倒れたよね。
「善逸っ！」
「俺の勝ちだ！」
「伊之助ぇ、本気で殴っちゃダメじゃん」
ほら、頭から血が出てる。
死んじゃわない？これ。
「大変だ！血が…！」
「え！？血出てるの！？え！俺死んじゃう！！」
大丈夫だ、これ。
生きてるわ。
…それよりどこからか甘い匂いがする。
美味しそうな匂い。
今まで嗅いだ事のないくらい良い香り。
「…善逸、なんか付けてる？」
「何がって…それより心配してよぉ！」
泣きながらしがみ付いてくる善逸から香る匂い。
甘い蜜のような香り。
「善逸からすごく良い匂いがする」
「そうか？汗の匂いしかしないけど…」
鼻の良い炭治郎なのに分からないらしい。
え？私の鼻おかしくなった？
「でも、本当に良い匂いがするの」
「じゃあ俺の鼻が可笑しいのかなあ」
「ねえ、どっちでもいいから俺の頭…」
何となく善逸の頭を匂ってみた。
「え？なにしてんの？やめて！くさいから！！」
慌てる善逸だけど全然臭くない。
…寧ろ、良い香り。
そっか、分かった。
善逸の血の匂いだ。
「…A？」
善逸の血の匂いなんて何回も嗅いだことあるのにどうして今この匂いに気づいたんだろう。
やっぱり、私おかしくなったんじゃ…
「おい、A！」
「うわあっ！？なに伊之助！」
急に目の前に猪頭が出てきたら心臓止まるじゃん。
「変な顔してなに考えてやがる」
「失礼しちゃうわ、元からこの顔です」
何か思い出せそうで思い出せない。
重要な事を忘れてる気がする。
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作者名：enen♪ | 作成日時：2020年5月1日 21時
