バケモノ�� ページ21
"「やはり、お前は最強になれる」"
頭にそんな声が響いたと瞬間、意識を手放した。
「…ここは」
目を覚ますと私は空を飛んでいた。
…正確には高い位置から地面を見下ろす形。
私を包み込んだ大きなもの。
「…」
状況を理解するのに時間はいらない。
私は文字通り"バケモノ"になったらしい。
なぜか客観的に自分を見てしまう。
真っ黒で大きな鬼。
その大きさは人間を片手で持てるほど。
「…はは、変なの」
森を降りてもうすぐ人里に着く。
私は無惨に勝てなかった。
奴は私を"バケモノ"にしたんだ。
「綺麗だなあ」
バケモノの顔あたりに私の本体があって、私自身はガラスのようなものに包まれている。
誰の意思でバケモノが動いているのか分からない。
私の意思なのか、無惨の意思なのか。
知りたくも、考えたくもない。
「…」
見上げた月がいつもよりずっと近くて綺麗で。
思わず涙が出た。
…帰りたい。
「なんだよ、アレは…！」
私の視界に映った鬼殺隊の隊士。
たくさんいる。
「は、柱を…」
「ダメだ、間に合わない！」
「俺たちだけでなんとか…」
「森から出させはしない」
迷いのない強い瞳が私に向けられる。
バケモノの右腕が上がる。
そのまま勢いよく隊士達に振りかざす。
「もう、どうでもいい」
このまま眠ってしまえば楽になるかもしれない。
堕ちてしまえば何も考えなくて良い。
「どうでもいいよ」
疲れた。どうして私ばかりこんな目に遭うの。
私が何をしたって言うの？
そっと目を閉じた。
「うあああっ！！」
隊士の悲鳴を聞くと腕が止まる。
まだ、良心があるのかな。
私には分からないけれど。
「このバケモノめ…！！」
ごめんなさい。
私なんていなければよかったね。
終わり←ひとりでいい��
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作者名：enen♪ | 作成日時：2020年5月1日 21時
