ひとりでいい�� ページ19
「ふう」
山の奥のもっと奥。
誰も来ないような場所で見つけた古い洋風の屋敷。
「いいよね、勝手に住んでも」
そうひとりで呟いて最後の片付けを終えた。
ここ数日、誰も来る気配がないしきっと空家。
それに人里離れたから見つからない。
夜は怖いけど誰かを襲うよりもずっといい。
「…」
いつまでこうしていればいいのかな。
私は生きてていいのかな。
「…戻りたい」
人間として生きていた頃に。
それがもし無理なら、私は…
持ってきた日輪刀を握る。
だけど首に近づけると震える手。
この意気地なし。
そう小さく自分に吐き捨てて日輪刀を投げた。
ガシャンッと音を立てて落ちる刀。
「…はあ」
夜が来れば鬼を狩りに山を歩く。
だけどそれもいつまで続くのか…
人間に会ってしまうのが怖い。
「〜っ」
ポロポロ流れる涙。
目を押さえて寝台に飛び込んだ。
何かをしていないと、こうして涙がでてくる。
寂しくて寂しくて仕方がない。
ひとりになりたくない。
「助けて、誰か…」
そう呟いた時、恐ろしい気配がした。
「誰！？」
バッと振り返ると屋敷の窓が開いていて
そこに立っているのは細身の男性。
鬼舞辻無惨
「まさかこんな所にいたとは」
「… 無惨！」
「私の呪いを二度も外すとはな」
そう言ってニヤリと笑う無惨。
体が震える。
「まあ、いい。どうだ？私の血の力は」
「…クズになった気分だわ」
「そうか。上弦に入る気になったか？」
このハゲが。(違
誰が上弦に入るか馬鹿野郎。
そもそも"そっち側"に着くなって言ってない。
「私は腐っても人の心を捨てない」
「自我がある内は無理そうだな」
そう言うとスッと近づいてくる無惨。
抵抗しようと床に落ちておる日輪刀を拾って無惨へ向ける。
「近づかないで」
「物騒だな」
鬼の呼吸 参ノ型 鬼蓮の羽衣
ふたつの方向から同時に首を狙ったはずが瞬きの間に消えた無惨。
「お前なら耐えられる」
また首に激痛が走った。
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作者名：enen♪ | 作成日時：2020年5月1日 21時
