消えた鬼少女�� ページ18
炭治郎 side
「…嘘だろ」
善逸からする絶望と似た匂い。
しのぶさんに呼ばれた俺たちは蝶屋敷の女の子たちと共に聞いた。
"Aは消えた"
という事。
「でも、どうして何故ですか…俺にはAが何の理由も無しに消えるなんて思えない」
最後に会った時、Aは嘘をついてるような匂いもしたけど…何よりも"優しさ"が強かった。
あの時、無理にでも引き止めるべきだった。
「最後に見た時、いつもみたいに笑ってたのに…」
「でもアイツおかしかったぞ」
伊之助の言葉で思い出す。
あの時、善逸の頭を甘い香りだと言ったA。
確か、アレは善逸が頭を怪我して…
「Aは善逸の血を甘い匂いだって言ってた」
そう言うと空気が張り詰めた。
「…なるほど。関係ありそうですね」
「…Aは鬼化が進んだって事なの？」
不安そうにそう言ったカナヲ。
しのぶさんは静かに頷いた。
「その可能性が高いかもしれません」
みんなの顔を見てそう言うしのぶさん。
「もし、そうだとしたら…」
Aの気持ちはわかる。
たぶん、背追い込んでるんだ。
「Aから甘い匂いもしました」
「甘い匂い？やはり…それは他にも聞いた事があります」
あの甘い匂いを嗅ぐと気持ちが抑えきれなくなる。
「おそらくですが、何らかの"出来事"でAの鬼の力が強まったのかと…」
「鬼の、力…」
ゴクッと善逸から唾を呑む音が聞こえた。
「じゃあ戻せばいいんだろ？」
「…戻せばいいって、そんな簡単に…」
伊之助の言葉にアオイさんがそう言う。
「難しくなんかねェよ。アイツだろ？」
「考え無しだろ！？」
善逸がそう言いながら伊之助の頭を叩く。
…けど、その通りだ。
「難しくても、戻そう」
「…炭治郎」
「Aは俺たちの仲間だ」
そう言うとみんなが一瞬驚いた顔をして笑った。
少し空気が和らぐ。
「そうですね。隊全体での捜索は難しいですが…柱を中心に捜索して行きましょう」
しのぶさんの言葉にみんなが頷いた。
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作者名：enen♪ | 作成日時：2020年5月1日 21時
