消えた鬼少女�� ページ17
しのぶ side
あの子を最後に見た日から何日も経ったある日。
緊急の柱合会議が開かれた。
「皆、当然呼び出してしまってすまない」
「いえ。お館様…」
「しのぶ。君は知っているだろうけど」
全員が顔を上げてお館様を見つめる。
「Aが消えた」
あの日の事が鮮明に蘇る。
「Aちゃんが…どうして」
「" 何も言わずにいなくなる私を忘れてください "」
そうお館様は言った。
Aの言葉だろう。
「この言葉だけを残してね」
沈黙が続く。
誰も何も言わない時間が少し続いた後…
「アイツ、おかしかったんだ」
不死川さんがそう呟いた。
「おかしかった？どうして？」
時透君の言葉に不死川さんが話し出す。
「甘い匂いがした。おそらく、人の理性を壊す匂い。それからアイツ自体も様子が変だったァ」
「それはいつからだ？」
「分からねェ」
伊黒さんの言葉にそう返した不死川さん。
「それなら俺も体験した」
宇髄さんの言葉に冨岡さんも頷いた。
「最後に会ったのは俺と胡蝶だろう」
「そうなのかい？」
「…はい。あの時のAはどこか様子が変で…だけどどうしても私たちから"離れたい"といった感じでした」
訳もわからないまま話し合いが続く。
「君たちにお願いがあるんだ」
お館様は微笑みながらそう言った。
「Aを見つけてほしい」
「「御意」」
そのお館さまの言葉にどんな気持ちがこもっているか誰も聞かないのはわかっているから。
この鬼殺隊にとってAは必要不可欠な存在だから。
この場にいる全員の心の中では"最悪の事態"が予想されていると思う。
そうならないため、なってほしくないからこそ。
探し出してあげなければいけない。
本当の心を。
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作者名：enen♪ | 作成日時：2020年5月1日 21時
