ワインの右腕と呼ばれた人間2【fell swap gold】

陸上対空中 ページ5

ケルビムは恐ろしいスピードで打撃を繰り出す
デネブは最初こそ耐えていたが徐々に押され、とうとう後ろに倒れてしまった

「カハッ！」

「とどめぇ！」

「そこまで！」

「！」

エル先生の一声でケルビムはデネブの顔面スレスレにその拳を止めた
瞳が赤から緑に戻るとケルビムは徐々に動揺し始めた

「ハァハァハァ…」

「あ…あ…ご、ご、ごめんなさいごめんなさいぃ！あっぼ、僕！あっごめんなさい！」

「いやいーって！そもそもそういう訓練だろ！？謝んなって！」

「でも、でもぉ！」

ケルビムはデネブに対して頭を何度も下げていた
デネブは笑って許していたがケルビムは涙目でワンワン泣きだしてしまった

「えっと…ケルビム君の勝ち！でもデネブ、君も大健闘だったね！」

「まぁ堪えるのに離れてるんで…あそこで倒れてなきゃまだいけたっすよ。」

そういうとデネブはガハハと笑った
ああ見えてかなりお人好しなんだなデネブって
モンスターは見た目じゃ判断できないな

「じゃあ次、アルフィスとセイレーンね！」

「よろしく…」

「…こちらこそ。」

二人はタイプが違う
アルフィスのメイスは重量が重い
その為当たればとんでもない威力を発揮するが当たるまでの時間が長くなる
加えて相手は空中を飛ぶ
どこにどう動くのか検討もつかないはず…
さて…どうなるか…

「よし…始め！」

エル先生の合図と同時にセイレーンはやはり空高く飛んだ
すると持っていた銃を乱射し始めた
顔色一つ変えずに撃つその姿は恐怖すら覚え、冷や汗が滴り落ちる
それはアルフィスも同じなのか少し動きが鈍っている気がしたしかしアルフィスは目つきをキッとして狙いを定め始めた
投げるのか…？
だがそうなれば相手の思うツボになる
投げれば一瞬といえど隙が生まれる
そうなれば避けられてすぐに反撃を食らう
果たしてアルフィスはどう動く…？

「はぁっ！」

アルフィスは空高くメイスを投げた
もちろんセイレーンは避けた
そして銃を向けた
が…

「！」

「っらぁ！」

「っ！」

アルフィスはメイスを投げた時に注意が自分から外れるのを利用して己の脚力に任せ飛び上がりメイスを近距離で振り落としたのだ
結果、セイレーンは落下
動けなくなった

「勝った…すごいね君。あれが通用しなかったら負けてたよ…」

アルフィスはそう言って手を差し伸べた
セイレーンは表情には出さなかったがどこか嬉しそうだった

「…負けた…貴方も凄い。私のスコープからどんどん消えてく…追いつかない…いい戦いだったよ。」

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