俺は神の子〜十一〜【空に浮かぶ月明かり】 ページ14
【空に浮かぶ月明かり】
俺の目の前に、刀を突き刺す漆黒の長い髪を風で靡かせる男が居る。
ヒュー
弱い夜風が、美影たちの頬優しく撫でる。
今は冬だから、風が吹いたら寒いのだが、そんな寒い事など忘れて思わず男に魅入ってしまいそうだ。
其の男の紫色の双眸は、さっきから黙っている美影達を見てやがて口を開いた。
??「良いか。逃げるなよ?背を向ければ斬る」
雪が、降りしきる京の都に凛としたいかにも男らし低い声が響く。
みんなを照らすは、空に浮かぶ月明かり。
その月光が男の刀を照らす。刀が月光で一瞬光った。
今日は満月。
その時、ひらひらと雪が散り始めた。
その景色と重なって男はまるで、狂い咲きの桜のようだった。
視界が段々狭くなってゆく。
完全に何も見えなくなった時。
_______そこで俺の記憶は途絶えた。
ばん!
美影の身体は地面へ大きく傾く。
激しい音がなると共に美影は真正面へと倒れた。
真「美影!」
仲間たちも直ぐさま駆けつける。
そして、美影の周りを取り囲み見やった。
何時も、だったら冷静な優が声を張り上げる。
優「美影、美影!」
何度も、何度も呼ぶが返事は無い。
揺すっても、起きる気配が無い。
渚「落ち着きなさい、優。美影は気絶しているだけよ」
冷静さがあった時の優の代わりに、変わって渚は、混乱して美影の元へ駆け寄ろうとする優の前に腕を伸ばし広げて止めた。
急に腕が出てきたので少々驚いた。
だが、その白く細く長い美しい腕は落ち着けとでも言っているように感じられた。
優「渚?」
不思議そうに優は渚の顔を覗き込む。
よく見ると、微かに唇が動いていた。
渚は小さく、小さく、大丈夫、大丈夫と繰り返し吐いていた。
慧「美影!!」
美影の身体は誰かに持ち上げられていた。
菖蒲「美影を…美影を、どうするともり!?」
美影はお姫様抱っこされて、しかもあの浅葱色の羽織を着た男の中の一人に抱き上げられていた。
この男たちに、警戒心を出していた菖蒲は仲間が連れられそうになるのを黙って見ては居られなかった。
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如月輝夜 - そうすけさん» コメントありがとうございます!そして、明けましておめでとうございます。そのコメントを励みに更新頑張ります。 (2017年1月7日 14時) (レス) id: 8329175125 (このIDを非表示/違反報告)
そうすけ - 明けましておめでとうございます。神様サイド強いですね!Σ( ̄□ ̄;)更なる続きが気になります。 (2017年1月6日 16時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - 更なる更新されるのを待ってます (2016年12月9日 8時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
如月輝夜 - 総ちゃんさん» コメントありがとうございます!はい、もう相棒は決めてあるので徐々にくっ付けて行きたいと思っております! (2016年11月19日 12時) (レス) id: 3505a724e3 (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - 神様と新選組なんですね。それぞれ気の合う相棒でも出来るのでしょうか? (2016年11月18日 12時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月輝夜 | 作成日時:2016年10月17日 8時