予期しない状態が発生しました【Bs63/21】 (ページ6)

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Asaid

(今日もあのお客様きてくれないかな～)

今日も昨日と同様のシフトでバイトに入った。大学生のAは、最近このコンビニの近くに引っ越しをしたため、近いバイトを探し最近入ったばかりだった。

倉庫で今日の分の在庫補充し、ショーケースの商品を一つずつ賞味期限の確認をした。

時間は朝５時１６分。昨日の時間は３０分くらいだったから、もうすぐ来るかもと期待した。

レジから、一人の老人客が雑誌コーナーにいるのが見えた。その老人は立ち読みしていた雑誌を戻し、温かいドリンクが置いてあるコーナーに行った。

すると、その老人は自分が好きなメーカーのコーヒーを手に取りレジへやってきた。

(っぱ、この缶コーヒー最強なんよ！)

少しずつ人気を博してきた缶コーヒーに嬉しくなった。といっても、じつはこの缶コーヒーは不人気であまり売れていなかった。自分が以前バイトしていたコンビニは客数が多くこの缶コーヒーも鎮座していたのだが、あまりにもの不振に店長がその缶コーヒーを品入れしなくなってしまった。

(でも、数本しか置いてない、、)

だから、この利用客の少ないコンビニなら尚更この缶コーヒーを手に取る人は少ないのではないかと思った。

(この缶コーヒー好きな人って味覚オンチだったりするのかな？)

もはや自分を疑い始めるも、あの例のイケメンが好んで飲んでるんだから間違いない！という謎理論に至った。

レシートを渡し、会計を終えた老人と入れ替えに例のイケメンが来た。

颯爽と長い脚でドリンクコーナーまで行きいつもの缶コーヒーを手に取り、レジにやってきた。

『おはようございます！』

満面の笑みであいさつをすると、昨日とは打って変わって怖い表情だった。

「、、あぁ、おはようございます」

『っ、、』

高い図体から見下ろされる視線が怖くて、話そうとしていた言葉がでなかった。
また朝から鬱陶しい、と思われたのかもしれない。

無言で会計をすると、目が合ってないはずなのに”見られている”という圧を感じる。レシートを渡す際に、おそるおそる顔を確認した。彼の長い柳のような前髪が目にかかっている、その隙間からまたばちっと目が合った。