追いかける狂気 ページ22
allside
『、、、これから山本さんはどうするつもりですか』
18「俺は、颯一郎を連れて警察に行って自首しようと思う」
『、、、、』
18「本当にごめんなさい、もっと早く気づいてやれたらあいつを救えたかもしれないのに」
『いえ、きっと友達でも意思じゃどうにもなりませんから、、』
『でもまさか、あんな素敵な人が、、、人を＿＿
ピンポーン
『「！？」』
＿＿「A、いるんだろ？こんなとこにいないで帰ろう。」
ドアの向こうから感じる、明らかな殺意。その優しい声色の裏に狂気がある。
「＿＿＿なぁ、A〜、、、」
ドンドンドンドンッ＿＿＿
段々強まる怒りと圧に緊張が走る。居留守を装い、俺達は動揺しながらも声を殺した。
甘ったるく呼ぶ颯一郎が怖すぎる。
18「Aさん、耐えてくれ、、、っ」
涙で嗚咽するAの口を俺の手で覆い、被さるようにクローゼットへ身を潜めた。
『っ！、、、、』
山本さんは私を庇うような体制をとった。背後から感じる山本さんの息が不安と焦燥でいっぱいになっているのが分かる。
『これじゃ、、、ほんとに＿＿＿されちゃうよぉ、、、』
終わりの見えない恐怖に耐えきれず私達は最終手段をとることにした。
18「＿＿＿警察、、警察を呼ぼう」
◇・◇・◇
その後、俺達は警察に”不審者が家に来たので追い払ってほしい”と通報したが、姿はなく夜になってしまったせいか目撃情報も入らず、見つけることができなかった。
そのせいで俺は自分の事情を吐くことができず、見えない恐怖と戦うことになってしまった。
いつ襲ってくるかわからない、警察には”家の防犯に警戒して”とだけ言われ、戻ってしまった。
その頃にはAは疲れて眠ってしまった。目の周りが赤くなっている。
すやすやと寝息を立てるAの額をそっと撫でる。
(もう、いっそ俺の手で、、、、)
今、Aを撫でている手が赤く染まった時が鮮明にフラッシュバックした。
正直、あの体躯の狂気に勝てる気がしない。だが、Aを守りたいという信念は強くある。
俺は、大量の不在着信をかけてきたあいつに勝負を挑むことにした。
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作者名：塩分過多 | 作成日時：2023年12月27日 23時
