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Aside
開けた段ボールの中から一本取り出してレーンへ運ぼうとするとお客様が話しかけてきた。
「あ、そのメーカー」
『?この缶コーヒーですか?』
「その缶コーヒーが好きなのでひとつ頂けますか」
『あ、どうぞ〜』
「ありがとうございます」
(やっぱり〜!この缶コーヒーのうまさを知る人はいるんだ!)
『そのメーカーのコーヒー私も好きです!』
(あ、やばい、うれしくてつい話しかけちゃった、、、)
ばちっと目が合った。びっくりした表情でこちらを見たので一瞬キレられるかと思った。
が、すぐに笑顔で見つめたので安堵しまた話したい衝動がこみ上げた。
『わ、私、一日のはじまりがこの缶コーヒーじゃなきゃ受け付けないというか、、中毒性があるというか、結構お気に入りなんですよ〜、、、』
「そうなんですね」
目線を外さずこちらを見るので少しはっとしたが、お客様は微笑んでくれた。
(ってか、忙しそうなのに絡んじゃった!ごめんなさい!)
『わっ、すいませんお急ぎの中話しかけちゃって!』
「いえいえ、こちらこそこのコーヒーが飲みたかったので丁度品出しして頂けてよかったです」
「それでは」
お客様は爽やかな笑顔で会釈してその場を去った。怒られるか、シカトされるかと思ったが良客だったのでうれしかった。
『はい!お仕事がんばってください!』
(わ〜立ち話に付き合わせてしまったけど、めっちゃイケメンだったな〜、、、)
(また来てほしいな〜)
店を出るお客様の背中を見つめていたが、品出し中ということを思い出しまた再び作業に戻った。
この時の出会いが、衝撃的な出会いになることにAはまだ知らなかった。
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作者名:塩分過多 | 作成日時:2023年12月27日 23時